/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

2010全日本インカレ男子決勝(3)そして中央の逆襲

※文中および集計表のカウントについては、試合時のメモおよび録画視聴により取った記録によるものです。カウント基準等は公式記録と異なる場合があるかもしれませんが、照合できません…何卒ご理解のほど。

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順大が2セットを先取した。
この日、ここまでの放映で、何度となく繰り返されたのは「『東海』と戦うために守りを固めてきた順大」というフレーズであった。いくら全日本インカレに向けてのピーク合わせに定評のある順大とはいえ、この決勝の2日前に見た準々決勝の東海戦での戦いには、大いに驚かされた。前の試合で見てほっとしてふわっと見ていたのだが、急に目の色が変わって…というシーンが多々あった。そこまで磐石なる9冠を積み上げてきた東海が負ける、という状況を目の当たりにすることは、それをメインに見ていなかった者にとっても衝撃的であった。
この順大の「守り」におけるキーマンがキャプテンの樋渡であった。東海戦、そして準決勝の大商大戦とスタートから起用され、非常に効いていた。しかし、準決勝の途中で左足のふくらはぎを痛め退場した。準決勝までは2(というかツーセッターだからなんというのだろう。渡辺俊の次ローテ)伊藤、5樋渡というスタートであったところ、5に伊藤を配して2に1年生の佐野を起用*1したのがこの決勝戦
ほんとうに僅差ではあるのだろうが、地に足がしっかりついていた順大と、ちょっとだけはじけていた中央。その「ちょっと」の差はセットカウントに大きく響いてきていた。尤もこの試合がもつれるのは想定の範囲内であるし、それ以上に、範囲内であってほしいと思っていた。

第3セット(交代時のスコアは中央から見たもの)

J)29細中 4渡辺俊 30佐野 27伏見 2山田 7伊藤 L24渡辺光
(交代:[12-5]細中→21久保、[12-6]渡辺俊→20竹浪、[16-9]竹浪→渡辺俊、[18-11]伊藤→9浅野、佐野→1樋渡、[22-14]樋渡→佐野)
C)10白岩 11岡村 12高橋駿 8千々木 21傳田 3辰巳 L2高橋賢
(交代:[16-8]岡村→1山本、[20-12]山本→岡村、傳田→19山香、[24-16]山香→傳田、高橋駿→4長山)
序盤の競り合いから、中央が一気に抜け出す。1-1から渡辺俊のライトからの攻撃を千々木がブロックし、このプレイをきっかけに流れが徐々に変わってきた。千々木に3枚のブロックがついて、そのいちばん高い伏見のところをうまく利用してのブロックアウト。ライトから辰巳の鋭く重いスパイク、長いラリーの中で佐野のアタックを高橋駿がディグし、傳田のアンダーでの高い2段を千々木が打ち切る。
中央5-2で順大が早めのタイムアウト。さきほどのプレイを受けての各選手同士の声かけに「あやまるな〜」という声がかかった。この第3セット前半、セッターの高橋駿がファーストタッチというケースが目につき、そこから上がった二段トスを千々木なり辰巳なりがしっかり決める、というパターンがけっこうあった。既に放送席は

「バレーボールはみんなで繋いだものを〜」「最後にエースに託す!」

などとシュプレヒコールを始めかねない勢いであったが、おそらく当時見ていた自分とこの録画を見ていた自分が同時に「まだはやい!」とツッコミをいれていた…だろう。
タイムアウト明け、辰巳*2のクロスに3枚ブロックが来て、センター伏見を経て(?)レフトの佐野がブロックした。更にもう一本クロスがアウトになったが、次に鮮やかにストレートで決めた。ここまでS1を辰巳尽くしで最後おいしくいただいたところで千々木がサーブに。ラリーからの伊藤のスパイクがアウト、その後千々木のノータッチエースが決まり、中央が8-4でリードという、ここまでにはなかった展開で1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
試合の「流れ」というときにはその流れにはそれぞれ根拠があるのだろう。ひとつひとつ分解していけば、ほんとうに些細な差でしかないのだろう。ついつい点を取る人に目の向きそうな流れであり、実際目が向いているのだが、実は中央の繋ぎ、要所要所で、前のセット途中から出場している白岩が効いているように思い始めた。いわゆる好プレイ集に抜かれるようなのとは趣の違う、さりげなく周りを支えていた。
テクニカルタイムアウト明けも中央の攻勢が続いた。レシーブとブロック、中央に守備面での上昇機運が見られ、順大には細かいミスが目についた。順大は細中を久保に、更に渡辺俊を竹浪にスイッチして巻き返しを図る。順大はBパスから山田が巧みに久保の速攻を遣うが、それを高橋駿が1枚でブロックし、14-6。順大タイムアウトは既に2回目。指示は常に前向き。タイムアウトが明け、「上から打てよ」と指示の飛んだ竹浪の足の長いライト攻撃など、ちょっと仕掛けられたものの片鱗はあったが形勢は変わらぬまま、16-8でテクニカルタイムアウト
中央はテクニカルタイムアウト直後に山本を投入。サーブのあとそのままコートに残る(リベロ高橋賢はこの間白岩と交代)。このセットはローテーションが回ってから徐々にその交代が効いた感がする。17-11からの攻撃で、伏見の二段トスを打った伊藤がブロックに捕まり、浅野と交代*3。次のプレイではほぼブロックがついてこない状況から千々木がバックから。その後も辰巳のネットインサーブなどで中央がリードを拡げた。順大はちょっと「足が一歩出ない」状況に入り始めていた。
23-14から順大に2連続得点が入ったところで中央がタイムアウトを一回取った。多少追い上げられたとはいえ、一気呵成のタイムというのは、概ね元気すぎて、何度再生しても何が語られているかがわからないくらいになる。「1点は1点だぞー。綺麗に決めようと思わなくていいぞー」というのがなんとなく聞こえた。最後は順大・山田のトスがホールディング判定となり、第3セットは中央が取り返した。

中央 25-16 順天堂☆☆
15 スパイク決定 09
03 ブロック決定 02
02 サーブポイント 00
01 相手サーブミス 03
04 相手その他ミス 02

[いけいけ!〜まだまだ!]
(以下次回へ)*4

*1:樋渡はピンポイントでここの守備固めにあたる

*2:S1ローテにつきレフトから

*3:あとから考えるとここでの交代は「長い目」発動だったのかもしれぬ

*4:1セット分先送り説あり