2010全日本インカレ男子決勝(4)ふりだしと布石

※文中および集計表のカウントについては、試合時のメモおよび録画視聴により取った記録によるものです。カウント基準等は公式記録と異なる場合があるかもしれませんが、照合できません…何卒ご理解のほど。

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第3セットを中央が終始リードを保った状態で取り返し、セットカウントは順大の2-1となった。中央の決めた15本のスパイクのうち14本までがサイドアタッカー。
手許の時計は既に19時を回っていた。

第4セット（交代時のスコアは中央から見たもの）

C)11岡村 12高橋駿 8千々木 21傳田 3辰巳 10白岩 L2高橋賢
（交代：[10-7]岡村→1山本、[17-11]山本→岡村、傳田→19山香、[22-16]山香→傳田、高橋駿→4長山、[23-17]長山→高橋駿）
J)29細中 4渡辺俊 30佐野 27伏見 2山田 7伊藤 L24渡辺光
（交代：[9-6]細中→21久保、[13-8]山田→20竹浪、[16-9]佐野→1樋渡、[17-12]竹浪→山田、[19-14]樋渡→佐野、[21-14]久保→細中）

このセットも序盤は中央がリードする展開。決して順大の攻めが弱まったということではないのだが、ブロックとレシーブで自ターンに持って行く中央。殊に伊藤に対してその傾向が強かった。佐野からの攻撃は、また徐々に通るようになっていたが。
中央8-4でテクニカルタイムアウトの後すぐに伊藤が決め、その後一進一退。しかし、順大はどうしてもブレイクが遠く、気がつくと徐々に点差が広がっていった。12-7で順大は2回のタイムアウトを使い切った。「サーブ弱くなるな」「攻めろ」必ずそのことばが円陣の中に響いた。攻め（ようとし）つづけることは大事だが、それが難しい。だからこそ。…最近になって、またちょくちょく再びアタマをよぎる。
16-9で2度目のテクニカルタイムアウト。中央はみんな声が出ている。タイムアウトの応援席は、ひたすら応援歌「あゝ中央の若き日に」のサビ「力　力　中央　中央」をリフレインしていた。録画を見ると、この応援と、選手達の声が力強くシンクロしていた。
[ちから]
リアルタイムで見ていたときは、試合の流れが中央に来た、とこのときは思っていたが、この録画を何回か再生しているうちに、どんなときでも基本姿勢は変えずにいた順大が、徐々に押し戻すちからを出しつつあったことに気がついた。
テクニカルタイムアウト後、順大はサーブを打ち終わった佐野に代えて樋渡を投入した。その後、サーバー千々木からの長いラリーがあった。順大はレフトから伊藤、ライトから竹浪。中央はブロックにかけるなどして応戦しつつ、バックの千々木が打ち込む。決まったかと思われたところで樋渡のディグ。中央は白岩のスパイクがアウトとなった。引き続き伏見の強いジャンプサーブからの白岩のアタックを竹浪がブロックした。これがこのセットの順大初めてのブレイクとなり、中央がタイムアウトを取った。
「攻めろ」「弱気になるな」「まだ2点しか縮んでない」「焦るな。こんなにリードしてるんだからいっちまおうぜ」「ミス待つな。自分たちで点取れ」「ちからー、ちからー」いろんな声が僅かな時間の中で交錯した。今聞くと、ちょっとだけ気になった。
その後は互いに綱引き、攻防が続いた。フルセットにもつれ込むことはだいたい予測はつき始めていたが、そのファイナルセットがどんな展開になるか、を考えてぞくぞくし始めた時間帯でもあった。中央は千々木の攻撃機会が多くあった。これはタイムアウトに順大側で盛んにいわれていたことでもあり、実際決定本数は多かったが、必ずしもそれは「エース偏重の単調な攻撃」を意味してはいなかった。ミドルブロッカーが上手く絡んだ攻撃であったり、バランス良くトスを上げていこうとするセッター高橋駿の意図を感じたりはした。しかし順大はじわじわと「バランス良く」の部分を封じにかかっていた。20点過ぎに順大のブロックポイントが3本あったが、止めたブロッカーと止められたアタッカーは、順に佐野（岡村）、伏見（白岩）、山田（辰巳）という具合であった。
[順大19点目]
その3本のうち2本が連続ブロックで24-20となったところ、最後はライトから千々木がこのセット9本目のスパイクを決めた。
決勝戦は女子に引き続きフルセットに突入することとなった。