/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

2010全日本インカレ男子決勝(2)まずは「理」をもって飛び出す順大

※文中および集計表のカウントについては、試合時のメモおよび録画視聴により取った記録によるものです。カウント基準等は公式記録と異なる場合があるかもしれませんが、照合できません…何卒ご理解のほど。

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★F

第1セット(交代時のスコアは順大から見たもの)

J)29細中 4渡辺俊 30佐野 27伏見 2山田 7伊藤 L24渡辺光
(交代:[16-15]佐野→1樋渡、[20-17]樋渡→佐野、[21-19]細中→8高橋、[24-20]高橋→細中)
C)14渡辺 11岡村 12高橋駿 8千々木 4長山 3辰巳 L2高橋賢
(交代:[17-16]長山→19山香、[24-20]山香→長山、岡村→1山本、[24-21]高橋駿→21傳田)

順大は渡辺俊介-山田のツーセッター。順大の複数セッターは2009シーズンから、その時その時でちょっとずつかたちを変えつつ続いている*1。全日本インカレはふたりの4年生が軸となった。実は案外この組み合わせは少なかった。黒鷲から夏を越えるくらいまで、病気などで渡辺俊欠場の時期があったわけで。
中央は、通常S1スタート(サーブ#12から)が多いが、この試合では少々ずらしてS3スタート。いきなりかと思ったら、サーブを岡村から、というのは秋季リーグ最終戦の途中で試行済みだった。
サーブは順大から。
中央は最初のトスが千々木に上がったが、これがアウトとなりまず順大が1点を先取した。その後中央が連続得点し、しばし膠着するものと思われたが、中央にスパイクのミスなどが重なり、順大8-4で最初のテクニカルタイムアウトを迎えた。
どちらかといえばサーブで崩されているのは順大の方だったが、そこでツーセッターが利いてきているのだろう、山田にきれいに返るのが理想だとして、返らなくても渡辺俊が、あるいはその逆のパターンで…そして、セットしていない方のセッター(前衛にいる場合)を含めて、比較的広角からの攻撃が仕掛けられてくる。
最初にそれを見ていたときはかなり特殊な形状であると思っていたが、最近、言うほど、言われるほどトリッキーなのではないのかも…と思うようになってきた。

テクニカルタイムアウト直後から中央が徐々に差を詰め、ついには辰巳の2連続サーブポイントなどで逆転した。最初はノータッチエース、2本目も同じコースで、リベロ渡辺光がレセプションに入ったが飛ばされた。順大9-10となったところで順大が1回目のタイムアウト
J SPORTS放映の録画を紐解くと、タイムアウト時の指示がある程度聞き取れる。このタイムアウトでは、順大・蔦宗監督の、口調はゆっくりだが耳に残るアドバイスが印象的であった。
「気にしない/楽にいけよー/*2限定しない/サーブ弱くなるなよ」
相手のサーブが2回連続で突き刺さった直後に、自チーム側のサーブも連動して弱くなるかもしれない、というところに、あらかじめやわらかく釘を刺していた。昨今「サーブミスが多い」という批判とつかない批判を日々受けている全日本の試合を見つつこの試合のタイムを聞くと、いろいろと心に響く。
タイムアウト明け、細中のクイックがアウトになって2点差。そこから一進一退の攻防ではあったが、順大12-14から4連続得点を重ね、再び16-14とリードした状態で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。ネット際をさまよいかけたボールを、相応のブロックをかわしながら伏見が決め、伊藤は千々木のライトからのアタックを一枚で止め、そしてレフトからの辰巳を伏見がブロックした*3のであった。テクニカルタイムアウトが明けてからもこの差が微妙に詰まらず、順大が伊藤のネット経由サーブポイントで先に20点目を取る。順大20-17で中央1回目のタイムアウト
中央の各選手が声を出すタイムアウトではあるが、主に指示はリベロの高橋賢とキャプテン山本*4から出ていた。
「このセット、相手からスパイクをたたき込まれるケースはほとんど無い。失点はぽとっと落とされるかこちらのエラー。全部拾えば活路は見いだせる。まずサーブレシーブを一本」というような内容で、コート内外が見えている主将と副将が一気に指示を出した。
タイムアウト明け、中央が2点を返して2点差に詰めた。19点目は高橋駿のジャンプトスから3枚ブロックを激しく鋭角に抜いた千々木が、バックからの18点目に続き2連続ポイント。その後順大は佐野の高い打点からの強打。
21-19で順大は細中→8高橋。この高橋のサーブが中央の陣形を崩す。体を入れてなんとか打った千々木のクロスがアウトとなって順大が22-19。中央は2回目のタイムアウトを取った。
タイムアウト明けも順大がサーブから揺さぶる。中央にミスが続いて23点が入った後、伏見がライトから決め、たちまち24-19とセットポイント。中央が2点を返したところで順大も2回目のタイムアウトを取った。
中央は勝負とばかりにブロッカーとして傳田を繰り出す。前のプレイからリリーフサーバーとしてコートに立った山本主将が醸す勢いに拍車をかけようとした。山本のサーブからブロックはいちど機能したものの、最後は佐野が決めて25-21。順大が第1セットを先取した。

順天堂 25-21 中央
14 スパイク決定 13
03 ブロック決定 03
01 サーブポイント 02
00 相手サーブミス 02
07 相手その他ミス 01

第2セット(交代時のスコアは順大から見たもの)

C)11岡村 12高橋駿 8千々木 21傳田 3辰巳 14渡辺 L2高橋賢
(交代:[17-12]傳田→1山本、[18-15]渡辺→10白岩、[20-16]山本→傳田)
J)29細中 4渡辺俊 30佐野 27伏見 2山田 7伊藤 L24渡辺光
(交代:[14-10]山田→20竹浪、[14-11]竹浪→山田、[22-19]佐野→1樋渡)

中央は岡村からのサーブとなるべく1ローテずらし、その岡村の対角に、長山→21傳田を起用した。さきほどブロッカーで出場していた選手である。順大は第1セットと変わらず。タイムアウト時のベンチからの指示ではないが、前セットは両チームのミスの差が明暗を分けた形となった。中央で一番スパイクを決めていたのは千々木(5)だったが、ミスが3あったので、効果率はかなりアレであろう*5。ちなみに、順大で一番スパイクを決めていたのは佐野(5)。次いで伏見(4)。伏見は重要な局面でよく効いている。解説はその高さ(主に文字どおりの意味で)で中央にプレッシャーをかけているのではないかと指摘している。「体の大きい割には細かいことが上手い」とはよく実況解説で言われていたが、その「体の…」がつかなくても良い状態になったらそりゃ恐ろしいことになるのだろう。

序盤はまず順大8-6で1回目のテクニカルタイムアウト。順大は伏見がサーブにブロックにクイックに、大きな決め手となってきた。中央はサイド、殊に千々木と辰巳に打数が集中する状態となった。
このテクニカルタイムアウト時にマイクに拾われた蔦宗監督の指示(?)が「千々木のバックアタック声で押さえろ」だった。
ミスこそ第1セットよりやや少なくなったが、攻撃の糸口がつかみきれない中央に対して、順大がじわじわとリードを拡げていった。ツーセッターが鮮やかに機能し、それぞれ自ら攻撃にも絡む。伏見の存在感は更に増し、このセット2本目のサービスエースをノータッチで決め、16-11で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。実況解説でもあったが、このあたりは順大が上手く「まずサーブを強く打って崩し、その相手の出してくる攻撃をうまく使ってかわして点を取って」いたということなのであろう。
その後も順大の冴えたプレイは続く。20-16から渡辺俊の強いジャンプサーブ。ダイレクトで返ったレセプションボールを渡辺俊がオーバーでジャンプトス、それを山田が鮮やかにツーアタックで決めた。21-16で中央はタイムアウト。「ブロックの対象を絞ってもよいのでは」との声。
中央はあまりセンターからの攻撃を入れられずにいたが、タイムアウト明けに傳田が久々に決めて17点目。その傳田が伏見を1枚でブロックして連続得点。徐々に差が詰まって22-20となったところで順大2度目のタイムアウト。直後に樋渡レセプション→渡辺俊ハイセット→伊藤豪快なオープン、という絵に描いたような美しいパターンで順大が引き離した。点を取る、という部分では対角の佐野が目立っていたが、要所要所を締めていたのは伊藤、という風情であった。その伊藤がセット終盤で効いた。
最後は中央白岩のスパイクを渡辺俊がブロックし、これで順大が2セットを連取した。中央は徐々に入れ替えたメンバーが効いてくるのか…後がない状況となった。

☆順天堂 25-21 中央
15 スパイク決定 14
03 ブロック決定 03
02 サーブポイント 00
00 相手サーブミス 02
05 相手その他ミス 02

(以下次回へ)

*1:2011秋季リーグ途中からワンセッターに戻しているが、はて、全日本インカレではどうだろう

*2:攻撃パターンを?

*3:あれっ、これ噂のS1ちゃうかー

*4:このシーズンからリベロに転向し、高橋賢と激しくポジションを争った。全日本インカレでは主に後半に登場してリリーフサーバー→レシーバー→そしてチームの士気プライスレス、というキャプテンのおしごとを全うした

*5:打数数えてないから計算できないお