/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

2010全日本インカレ男子決勝(5)フィナーレを

※文中および集計表のカウントについては、試合時のメモおよび録画視聴により取った記録によるものです。カウント基準等は公式記録と異なる場合があるかもしれませんが、照合できません…何卒ご理解のほど。

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全日本インカレ男子決勝戦は、7年ぶりのフルセットに突入した。この先、15点前後の攻防の中に、全てが詰まる。
ファイナルセット突入前、コイントスは改めておこなわれる。コイントスの結果、中央のサーブからスタートすることとなった。

第5セット(交代時のスコアは中央から見たもの)

C)11岡村 12高橋駿 8千々木 21傳田 3辰巳 10白岩 L2高橋賢
(交代:[7-7]岡村→1山本、[12-12]山本→岡村、傳田→19山香)
J)29細中 4渡辺俊 30佐野 27伏見 2山田 7伊藤 L24渡辺光
(交代:[10-9]山田→20竹浪、[11-11]伏見→8高橋、[12-12]高橋→伏見、[12-13]竹浪→山田)

当方、エンドラインで見られるときはエンドライン側で見る、のを常としていたので、この試合もここまで4セット、同じ側のエンドライン側から観戦していた。セット間にふと思い立って、コートチェンジになったらサイドライン側に移動することとした。割と珍しい。試合が終わったあとの表彰式を考えて、という側面はあったのだと思う。

セット前半は両チームつかず離れず、追いつ追われつの展開となった。以下左側が中央、左端がサーバー。もうこれが最後のセットだから。全部。

  • [0-1]岡村:渡辺俊がライトから。
  • [1-1]渡辺俊:千々木。ワンタッチあり
  • [2-1]高橋駿:伏見がネット際押し込んだがその際タッチネット
  • [2-2]高橋駿:佐野が打ち込んだのを白岩がワンハンドでディグ、繋いで千々木。伊藤のディグから繋いで伏見。再び千々木。ラリーは続く。再び佐野が足の長いスパイク。中央はディグして千々木。ネット際での押し合いの後千々木。順大いちどブロックにかける。最後は千々木のクロスに3枚ついて山田がブロック。狭いところを抜こうとしたが3枚ブロックが立ちはだかった。
  • [3-2]佐野:千々木がライトからのクロス。伏見のブロックの左を抜く。高い。
  • [3-3]千々木:渡辺のトスから伊藤。白岩がスタンディングで打って返す。こんどは山田から伊藤がクロス。2枚ブロックの上を抜ける。
  • [4-3]伏見:サーブミス。エンドラインを大きく越えた。
  • [4-4]傳田:伊藤が鋭く打ち抜く。ブロックアウト
  • [5-4]山田:中央から辰巳。レフトからの白岩と同時に攻撃動作に入る。はやい。
  • [5-5]辰巳:渡辺俊のレセプションから山田がセットして伊藤がクロスに。
  • [5-6]伊藤:千々木のレセプションはダイレクトで返る。順大は丁寧に切り返して渡辺俊がコースギリギリに決める。
  • [6-6]伊藤:サーブミス。エンドラインを越える。
  • [6-7]白岩:レセプションが大きめで山田ネット際で対応。佐野がクロスに打ち抜く。
  • [7-7]細中:千々木がブロックアウト

ここで中央は山本をリリーフサーバーとして投入。

  • [7-8]山本:サーブは7割くらいの力で変化する。上手く処理した順大、渡辺俊が決める。

コートチェンジから再開までの時間は短い。こちらもさっと移動し、主審の真後ろに空いていた席に座った。前方のボールリトリバー*1が、2年前にも同じ場所で見た顔であった。1年生がやるものだと思っていたので軽く驚いた。
この試合、どういう結末になるのか。河口*2は近づいているのに、もうほんのちょっとでどちらかに決まるのに、なかなか見えない。なんとなく、この時点は順大のほうに流れがあるような気はしていた。

  • [7-9]渡辺俊:試合開始から一貫してサーブで攻めつづけている。レセプションはセッターに返った。千々木のレフトからのクロスはサイドを割ってアウトとなった。

ぐぐぐいっと順大が紐を引っ張りかけたところで中央がタイムアウトを取る。「冷静になって」「勝機は必ず来る!」「楽に行こう」「もう一回」またいろいろな声が共鳴する。コートチェンジ。コートの中にはまだ山本が残っている。忽ち次のターンがやってくる。

  • [8-9]渡辺俊:レセプションがやや乱れたが立て直す。中央はひたすら千々木。ブロックにかけてまた千々木。順大は伏見がライトから打つが、それをブロックしたのもまた千々木。
  • [9-9]高橋駿:再び伏見。こんどはセンターからのクイック。しかし再び千々木…と2枚で跳んだ傳田のブロック。


紐はぐいぐいっと引き戻され、順大がタイムアウトを取った。「攻めろ。いいからいいから」「千々木が打つときは軟攻系を取れば良い」傍らで伊藤は何度か膝を伸ばす仕草をし、コートに戻る直前にちょっと顔を上げて微笑んだ…ように見えた。

  • [10-9]高橋駿:伊藤の二段からライトから打ってくる山田に2枚つき、再び傳田がブロック。

ここで順大は竹浪を起用する。ここまで、必ず竹浪のところでなにかが動く。

  • [10-10]高橋駿:ほら。ライトから竹浪が決める。
  • [11-10]佐野:サーブミス。ネットにかける。

サーブが終わったところで佐野→樋渡。

  • [11-11]千々木:樋渡のレセプションから竹浪が上げて、伊藤が2枚ブロックの上からクロスに打つ。磐石。

伏見にサーブが回ってきたところでリリーフサーバー高橋慶多。高橋が入るときもなにかが動く。

  • [11-12]高橋:辰巳に3枚ついて伊藤がブロック。コート後ろにぽとりと落ちる。高橋賢が追ったが届かず。
  • [12-12]高橋:両しゅんすけのフェイント合戦から白岩が決める。細中のワンタッチを誘う。

中央は岡村が、順大は伏見が戻る。そして中央はリリーフサーバーに山香。

  • [13-12]山香:伊藤がどかんと打ち込むが中央がブロックにかける。渡辺俊からライトの竹浪にあがるが、アウト。大きい。

中央のブレイクに、順大がすかさず2回目のタイムアウトを取る。順大側でなにかが「立ち上がる」のを見た。何度か写真を見直すうちに、脳内で「チャンピオン」が響いた。
★F

そして。

  • [13-13]山香:ふわっと変化するサーブ。順大はまず伊藤が打つ。拾った中央は白岩に上がるが合わずにフェイント気味に返す。伊藤もフェイントで応酬するがブロック。拾った順大が渡辺俊の長いトスから、伊藤がレフトから中央の3枚ブロックの左ぎりぎりを抜いたストレート。痺れる余裕はなかったが、痺れるしかなかった。あとからバボちゃんネットの記事を紐解いたが、やはりこの一打が試合を決めたといって過言ではなかった…のだろう。
  • [13-14]山田:レセプションはセッターに返ってバックの千々木が打つ。これをディグした順大が再び伊藤。今度は大きくブロックアウトを取った。

順大がマッチポイント。ここから何がどう動くのだろう。まだまだ攻防は続くのか。

  • 山田:レセプションは再びセッターに返った。高橋駿は迷わずバックの千々木に上げ、千々木が打ち抜いた…そのボールは、サイドラインぎりぎりに切れた。瞬間、なにかがはじけた。[13-15]
☆☆順天堂 15-13 中央☆☆
11 スパイク決定 05
02 ブロック決定 03
00 サーブポイント 00
00 相手サーブミス 03
02 相手その他ミス 02

去年はホームランだったよな…ちょっとだけ近づいたよな…って、そういう話じゃないよ。ないよな…
終わりは突然来るのだ。何度録画を見ても、その瞬間の実況の「あーーーーーーーーーーーーーー」という声にならない叫びと、数分後の「セットカウント3-2、順天堂大学が勝ちました」という冷静なアナウンスとが、アタマをぐるぐるまわる。

勝戦のMIP賞*3は伊藤。トロフィーを高く掲げた。
★F
一方はじわじわと歓喜につつまれ、もう一方はいつまでも時間が止まったままで。ネットを挟んで、ふたつの景色が交錯した。

(次回へ続く)

*1:武大の皆様

*2:タイトルにいただいたのはそういう表題の合唱曲の歌い出し

*3:最も活躍した選手に贈られる個人賞。副賞はもちろんバボちゃんではない