/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

きのうのはなし(1)「5冠」の先で

決勝終了。東海大学が「5冠」*1を達成した。コート上で活躍した選手たちが表彰を受け、ヒーローインタビューが終わり、監督や一部の選手が記者会見場へ向かい、一瞬間が空いた。そこに、どどどー…っと、スタンドで応援していた控え選手たちが駆け寄ってきた。

静けさの中に一瞬風が吹いたと思ったら、そこから来たひとりが、急に大きな声で語り始めた。

「さぁ皆さんおめでとうございます、やりましたね〜!」

「一瞬くすっと吹いたのだが、時間が経ってきたらだんだんしみじみとキた」のである。それ。
声の主は背番号3。かなり久々に見たユニフォーム姿。というか、まさか、今季初めて見たということになるか?まさか。

初めてこの選手を意識したのはちょうど4年前。同じように全国大会出場経験がなく、全国では無名だった古田史郎とともに、北海道から2人の選手が東西対抗に選ばれたという報知北海道の記事がきっかけだった。高校からバレーボールを始め、まだ「原石」であるとされ、卒業後に進学する予定の大学での飛躍が楽しみ、と目された。
時間はかかるのだろうと思っていたので、2年の春リーグで初めて試合に出たところを見たときは嬉しかった。この試合、かなり派手にブロックを決めたのである。当時(まぁいつでもそうだが)、東海の選手層は厚かった。同学年、同ポジションの中でも激しいポジション争いが繰り広げられていたが、その中でチャンスを掴んだ、と、そのときは思っていた。

その後、昨年の東西インカレまでは、東海でスターティングメンバーとして出場していた。しかし、秋リーグ以降、試合でその姿を見ることが出来なくなっただけではなく、ベンチからも外れ、スタンドで応援する姿を見ることがほとんどになってしまっていた。同じポジションには、同じように高校からバレーを始めて5年で全日本デビューに至った下級生や、コツコツと今年の大学界の顔になった*2同級生が構えていた。層は厚すぎた。

大学最後のインカレ、どんな気持ちであそこから降りてきて語るに至ったのだろうか…一瞬思った。たぶん一瞬ではコトバは無いのだろう。しかし、インカレ開催中に発表があったように、この選手はV・プレミアリーグ所属のチームに加入することに決まっている。5冠を達成した「つよい」チームでじっくりと築き上げたものは、これからまた更に積み重ねて、この先のキャリアで爆発させればいい。今はただただ、それを願っている。

*1:春秋リーグ、東日本インカレ、東西インカレ、全日本インカレすべて制覇。これは2005年筑波以来4年ぶり

*2:と、思いますよ、ホントに