東京ダービーの背中
「レジェンドのおっくん」こと(?)ヴェルディのセッター奥田晃せんしゅが、2018-19シーズン限りでヴェルディを退団する、というニュースが飛び込んできた。
おそらく見る者としての自分にとっては、ほぼネットの向こうにいる存在だったのだが、様々な感慨を其処に見ていたような気はしている。
いちばん最近の記憶としては、やはり2018-19シーズンを以て退団(引退)した倉田主将を送るセレモニーの中で、ヴェルディサポーターによって書き加えられたゲーフラをじーっと見つめていたその姿があった。
奥田さんは幾人を見送ってきたのだろうと思ったりした pic.twitter.com/V1yAVuDba9
— でぐちきり (@dhalmel) March 17, 2019
こちらのおっくんは見送らせていただけないのだな、と思いつつ、退団コメント(退団。退団ですよ。現役をどうこうするとは何処にも書いてませんよ)を読んで、ひときわ沁みた一節があった。
「東京ダービー」の独特な雰囲気をもう一度皆で味わいたいとチャレンジしてきましたが、それを実現できなかったのが残念でなりません・・・
おっくんがヴェルディに加わったのは2006-07。奇しくもサンガイアが初めてVリーグに参戦したシーズンでもある。東京ダービーというのは、その少し前から下部リーグ(V・チャレンジリーグの前はV1リーグというリーグがあった)での名物カードと化していた。2005-06シーズン(とは呼ばれていなかったが)、桜でサンガイアのホームゲームを見て、サンガイアの勝利を見届けた後、その足で江戸川に出向き、ヴェルディとFC東京のすごい試合を見た記憶があった…が、まだ、そのときおっくんはヴェルディにはいなかった(その時期がCivaula Clubにいたときだっけか)。
強烈な記憶として、2007-08シーズン、V・チャレンジリーグが東京体育館大集合マッチをおこなったときがあって、そのとき東京には雪が降って、その雪の中でも東京ダービーことヴェルディ-FC東京は非常に盛り上がって、ヴェルディ先発のおっくんは試合中にアキレス腱を断裂する大怪我をして、FC東京サポーターから奥田コールが飛び……そういう試合があったのだ。その前のシーズンには何故かこの対戦が京都の大山崎で開催され(試合が始まる前に山元麺蔵でうどんをいただいた。もう10年以上前の話じゃねぇか)、なんで東京ダービーが京都でやるんよと大騒ぎになったことがあったなあと。
それからFC東京の「上」を目指す戦いには、2008-09シーズン後の入替戦で一旦ピリオドが打たれた。その後もFC東京は上位で踏みとどまり続けているがゆえに、「東京ダービー」は暫く実現していない。
東京ダービーの在りようとか、サポーターの佇まいとか、その見る者としての受け止め方にはいろいろな観点があって、必ずしも肯定的にだけとらえられるものではないとは思っているが、主に別なチームを見にいって、傍らでこの試合を見ていた自分には、非常に熱い時間をそこに見られることがありがたいし光が射すような感がしていたのである。
だから、このコメントには、妙に『掘られた感』がしているのだ。
来季からはユニフォームも一新するらしいし、ヴェルディにも新しい時代が来るんだなあとしみじみしているところなのではある。それにつけても良い鼻だ(