男子チャレンジマッチ10回史
きたる3月14(土)15(日)、日本製鐵堺体育館にて、男子では3シーズンぶりのチャレンジマッチがおこなわれる。今回は新型コロナウイルスの影響で、無観客試合として開催されることが早々に決まっている。尤も、それはあくまでも現時点での話で、最終的にどうなるのかは直前までわからないのだが、両チームが移動できて、会場が問題なく使用できる*1のであれば、開催はされるのだろう。幸い、V.TVで配信されるということなので、当日はそれを愉しみにする所存である*2。
さて、Vリーグの中で、カテゴリ同士の入れ替え戦のことを「チャレンジマッチ」と称して実施するようになったのは、2006/07シーズンからである。この前のシーズンまでは、「Vリーグ」には最上位リーグだけがあって、2部相当は「V1リーグ」だった。「Vリーグ」と「V1リーグ」との入れ替え戦は存在し、熱い戦いは続いていた。このシーズンからは「V1リーグ」がVリーグ傘下になって、「V・プレミアリーグ」(従前の「Vリーグ」)と「V・チャレンジリーグ」の2部構成になったのである。(ちょうどこの頃に創設されたつくばは「GO TO Vリーグ」を合言葉にしていたのだが、いきなりVリーグに入ったので或る種拍子抜けしていた)。かくして、「V・プレミアリーグ」下位と「V・チャレンジリーグ」上位との入れ替え戦が「チャレンジマッチ」としておこなわれるようになったのである。
その後、9シーズンを経て、2015/16シーズンからV・チャレンジリーグはV・チャレンジリーグ1とV・チャレンジリーグ2に分割された。また、2018-19シーズンから新生V.LEAGUEとなり、各カテゴリのチーム数が見直されたこと、リーグ出場に相応のライセンスが必要となったことから、チャレンジマッチがおこなわれないシーズンが2回続いた。
いろいろと変動のある中で、2006/07から現在までのチャレンジマッチの結果をまとめてみる。なお、これらのうちいくつかの大会は生で観戦している。「ああ、その試合を、見ていてよかったのだろうか」と思う、他となんともいえない違いを感じるのが、この大会の特徴でもある(あくまでも主観だし、主に2013/14の感覚に基づいている)。
なお、チャレンジマッチはここまで「中立」な会場でおこなわれている。これまで、何故か神奈川での開催が多かった。
チャレンジマッチは中立会場で2日間にわたり2試合おこなわれる。勝数→セット率→得点率ときて、得点率も同じであれば上位リーグチームの残留となる。というのは、当初から変わっていない。
- 2006/07(4/14-15長岡)
- 2007/08(4/12-13秋葉台)
- 2008/09(4/4-5大和)
- 2009/10(4/3-4秋葉台)
- 2010/11 なし(東日本大震災でリーグ打ち切りのため)
- 2011/12(3/31-4/1大和)
- 2012/13(4/6-7秦野)
- 2013/14(4/5-6さいたま)
- 2014/15(3/28-29横浜文体)
- 2015/16(3/5-6ひたちなか・船橋)
- 2016/17(P-C1:3/11-12大和、C1-C2:3/4-5パナアリ)
- 2017/18 なし(リーグ再編のため)
- 2018-19 なし(V2リーグにS1ライセンス保有チームなし)
- 2019-20(3/14-15日鐵堺 ※予定)→中止
2006/07(4/14-15長岡)
[P8]大分三好ヴァイセアドラー 2-0 [C1]FC東京 (大分三好残留)
[P7]NECブルーロケッツ 2-0 [C2]東京ヴェルディ (NEC残留)
長岡には行った。試合の帰りに見る桜が綺麗だったのと、初日NECにフルセットまでいったヴェルディと、斯様な試合をしたNECの余韻と、なーんて言ってたら帰りの新幹線が思いっきりNECとご一緒であったことと、東京三好の息をつかせぬ各セットと、試合が終わってからずっとずっと固く手を握り戦況を語る武大の同期と…とぎれとぎれに思い出す。
2007/08(4/12-13秋葉台)
[P8]大分三好ヴァイセアドラー 2-0 [C1]FC東京 (大分三好残留)
[P7]NECブルーロケッツ 2-0 [C2]警視庁 (NEC残留)
FC東京が大分三好と宿命の戦い、いいところまで迫るも及ばず、が、続いていた。このシーズンは、ちょうど関東1部の開幕とかぶり、かなり迷った末にこちらにいた記憶。大分三好に背番号1と23(象徴的な意味で)がいた時代。
2008/09(4/4-5大和)
[C1]FC東京 1-1 [P8]大分三好ヴァイセアドラー (FC東京昇格)
[P7]NECブルーロケッツ 2-0 [C2]富士通 (NEC残留)
※大会後、NECブルーロケッツが黒鷲旗限りでの休部を発表。7月に大分三好の「昇格」が発表される。翌シーズンのV・チャレンジリーグは11チームで実施*3。
このシーズンのチャレンジマッチは男女ともえらく激震であった。女子は次シーズンからプレミアを10→8にするために、プレミア下位3チームとチャレンジ最上位チームでのチャレンジマッチから1チームのみが残留(もしくは昇格)というレギュレーションだった(結局JTが残留)。確か2日目はちょっと到着が遅れ、かの日立応援団さんが周囲にご挨拶をしているところに着いた記憶がある。
なお、この年から活動を開始したFC東京のマスコット・東京ドロンパ(当時11歳)が初めてバレーボール会場に姿を現したのが、この大会である。
2009/10(4/3-4秋葉台)
[P8]大分三好ヴァイセアドラー 2-0 [C1]富士通 (大分三好残留)
[P7]FC東京 2-0 [C2]ジェイテクトSTINGS (FC東京残留)
ジェイテクトが初めてチャレンジマッチ圏に来たシーズン。どちらの試合も早々に決着がついたが、富士通の内定選手として出場した中川が印象に残った。
2010/11 なし(東日本大震災でリーグ打ち切りのため)
V・プレミア、チャレンジとも、レギュラーラウンド(そもそもこのシーズンのチャレンジは12チーム総当たりのレギュラーラウンドだけだったんだが)終了前に東日本大震災のためリーグが打ち切りとなり、チャレンジマッチもおこなわれなかった。
2011/12(3/31-4/1大和)
[P8]大分三好ヴァイセアドラー 1-1 [C1]つくばユナイテッドSunGAIA (大分三好残留)
[P7]JTサンダーズ 2-0 [C2]ジェイテクトSTINGS (JT残留)
このシーズンのFC東京はプレミア5位、前年は別として、久しぶりにチャレンジマッチに出場しないシーズンとなった。大分三好-つくばはつくばが先勝したが、翌日大分三好が勝ち、セット率の差で残留。なお、つくばの現監督は日立の選手としてこの大会に出場していて、コーチと主将はネットの向こうでつくばと対峙していた。今思うと。
2012/13(4/6-7秦野)
[C1]ジェイテクトSTINGS 1-1 [P8]大分三好ヴァイセアドラー (ジェイテクト昇格)
[P7]FC東京 2-0 [C2]つくばユナイテッドSunGAIA (FC東京残留)
各セットのスコアをこの表に付記しようとしたのはこのシーズンの結果がきっかけ。ジェイテクトと大分三好は勝敗、セット率で並び、得点率勝負でジェイテクトが上回り、僅差での昇格を決めた。学生選手の主力が4年になるところで勝負に臨んだつくばは粘ったが及ばなかった。かくして、大分三好は初めてV・チャレンジリーグに位置づけられることになった*4。
2013/14(4/5-6さいたま)
[P8]ジェイテクトSTINGS 2-0 [C1]警視庁フォートファイターズ (ジェイテクト残留)
[P7]FC東京 2-0 [C2]大分三好ヴァイセアドラー (FC東京残留)
どちらのリーグも前週までレギュラーラウンドが展開されていて、特にチャレンジリーグは最終週での大逆転があった。思いっきり私情を挟むと、向こう2シーズン、現地で見られなかったつくばを見ようと現地に赴く所存であったが、以下略。チャレンジマッチを見るというのはどういうことであるかというのを必要以上に感じさせられた。
2014/15(3/28-29横浜文体)
[P8]FC東京 2-0 [C1]大分三好ヴァイセアドラー (FC東京残留)
[P7]東レアローズ 2-0 [C2]富士通カワサキレッドスピリッツ (東レ残留)
2015/16(3/5-6ひたちなか・船橋)
プレミア-チャレンジ1間
[P8]FC東京 2-0 [C1-1]富士通カワサキレッドスピリッツ (FC東京残留)
[P7]サントリーサンバーズ 2-0 [C1-2]大分三好ヴァイセアドラー (サントリー残留)
チャレンジ1-チャレンジ2間
[C2-1]VC長野トライデンツ 1-1 [C1-8]東京ヴェルディ (VC長野昇格)
このシーズンからチャレンジは2つに分かれた*5。VC長野はシーズン途中の2016年1月にV機構正式入社となり、チャレンジ1入れ替え戦の出場資格を得た。
このシーズン、チャレンジマッチの会場が2分割されていた。男子でいえばFC東京-富士通とVC長野-ヴェルディが船橋で、サントリー-大分三好がひたちなかで開催された。土曜日船橋で、日曜ひたちなかで試合を見た。初めてサザコーヒーに行った(そこか)。サザコーヒーで食事をしながらバスを待つ列と会場に向かう大分三好御一行様を見かけた(それで)。チャレンジわんつーの入れ替えが決まったのは、わたしがひたちなかをあとにして、確か空港へ向かうバスの中だったと記憶している。
2016/17(P-C1:3/11-12大和、C1-C2:3/4-5パナアリ)
プレミア-チャレンジ1間
[P8]FC東京 2-0 [C1-1]大分三好ヴァイセアドラー (FC東京残留)
[P7]JTサンダーズ 2-0 [C1-2]富士通カワサキレッドスピリッツ (JT残留)
チャレンジ1-チャレンジ2間
[C1-8]埼玉アザレア 2-0 [C2-1]東京ヴェルディ (埼玉残留)
前シーズンと異なり、チャレンジ1-2間の入替戦*6は別日程で開催された。V公式の記録ページでは「チャレンジ入替戦男子」のくくりになるのだと思われるが、結果は表示されない。ヴェルディの公式を紐解いた。
2017/18 なし(リーグ再編のため)
V.LEAGUEは2018-19から再編されることとなり、V.LEAGUE DIVISION1(V1)は10チームで開催されることとなった。V1に出場できるライセンスであるS1を保有するのは11チーム、このうちV・チャレンジリーグ1に所属していた中では大分三好とVC長野がV1で戦うこととなった。もう1チーム、つくばが「2018年度以降のV1への入れ替え戦の参加資格を取得した」という位置づけでS1ライセンスを保持した状態でV2となった。
つまりこのシーズンのチャレンジマッチはおこなわれなかった。
2018-19 なし(V2リーグにS1ライセンス保有チームなし)
こんがらがってきた。2017/18時点ではつくばが条件付きS1だった気がするのだが、そもそもリーグ戦ではチャレンジマッチを狙えるような位置には着けなかった。そのシーズン中に発表された「2019-20シーズンに向けてのライセンス」ではS2に位置づけられていた。いずれにせよちーんなのだが、鶏と卵の位置関係がよくわからなくなってきた。何にせよ、このシーズンは、チャレンジマッチの催行条件は満たされなかった。だって富士通がS2なんだもん。
2019-20(3/14-15日鐵堺 ※予定)→中止
というわけで今季である。男子V1開幕前日に発表された2020-21のライセンスで、ヴォレアス北海道がS1取得であることが判明し、2位以内であればチャレンジマッチに進出することとなった。優勝した富士通(やはりS2)と2チームが上位を走る状況であったため、チャレンジマッチ出場権獲得は割と早めに確定していた。ただ、日程がすべて終わらなかったわけだが。
同じように地方のチームとして地元に根ざしながら基盤をつくってきているVC長野との対戦ということになるのはなんというか凄まじい趣を感じる。マスコットのかわいらしさとかプリンの美味しさとかそういうこともまだ比べきれていないのだが、さて。
20200309追記:チャレンジマッチは中止になりました。
中止と致します(3/9更新)
2020年3月14日(土)~15日(日)にて2019-20V.LEAGUE V・チャレンジマッチ(V1男子・V2男子入替戦)を無観客試合で開催することを計画しておりましたが、昨今の近畿地区での新型コロナウイルス感染症拡大を鑑み、選手・大会関係者ならびに開催地周辺地域への影響を考え、大会の開催を中止することになりましたのでお知らせ致します。
V・チャレンジマッチ男子大会の順延は行わず、今シーズンのV.LEAGUE DIVISION1・10位VC長野トライデンツとV.LEAGUE DIVISION2・2位ヴォレアス北海道の入替えは行いませんので併せてお知らせ致します。