/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

3ポイント記

インカレはヤマ場の本日が終わって、男女ともベスト8が出揃った。結局左下ブロックは国士舘-東亜になった。どちらかがてれびなんだなぁと思うと、なんだかじわじわとくるものがある。
例年、木曜日は「いろいろ見る日」にしていたのだが、今年は諸事情により「特に見たい3試合」に照準を絞った。結果的にはそれでよかったと思っている。1試合だけ見て立ち去った武道館では国士舘-西工大とか、大体-慶應とか。最後まで見届けなかった東体では早稲田-大産大とか。気になることは気になるが、幸か不幸か、カラダはひとつしかなかったわけだ。むしろ、それを措いても確実に3試合が観られたことは、結果的に有り難かったと思っている。全てがニコニコで終わったわけではないが、全てが観る者を突き落としたわけではない。それぞれについてまとめておく。

[3回戦]東亜大学3-1宇都宮大学東京武道館

25-22 19-25 25-21 25-20
T)5筧本 20橋本 2伊東 12高橋 11牟田 30島崎 L1坂梨
U)7武田 6高木 12堀込 10大木 19佐々木 13村上 L8山崎
6人の平均身長が10cm以上異なる対戦。東亜は恐らく平均身長でいうと、関東1部のチームよりも大きいのではないだろうか…しかも、それぞれの選手のポテンシャルが高い。宇都宮はリーグ最終週と天皇杯を欠場した堀込が戻ってきており、リベロが交代していたが、それを抜きにしても、立ち上がりはなんとも地に足が付いていないように見えた。中盤過ぎに橋本の連続サーブポイント等で一気にリードした東亜が、第1セットを先取した。伊東の打数が多く、決定力も高かった感。
第2セットに宇都宮がセットを取った原動力は、東亜の強打に徐々に反応してきて、レシーブから次の攻撃が仕掛けられるようになったことと、その過程において、異能のサイドアタッカー・武田が非常によく効いてきていたことだったのではないかと思う。大木が来るのは判っている。大木がいろいろやるのはわかっている。本当に宇都宮を見ていておもしろいのは、武田が効いてくるときなのである(そこを来年以降どうするのかなという懸念はある)。第2セットは本当に実感出来た。
しかし、第3セット以降は、東亜に対し、しばしば競るのが精一杯になってしまった。
第4セットは序盤から東亜がリード。宇都宮は同点に追い上げるのが精一杯で、終盤はじわじわと点差を広げられた。最後は、後衛に下がっていた大木が、乱れたレセプションボールに身を挺して武田へトスを上げた。これを武田が打ち切れず試合は終了した。しかし、それぞれにとって、なんとも「らしい」最後のプレイであった。監督がベンチにいないことが多いチームで、選手達がつくってきたチームなのだということを、しみじみと思い起こしつつ、ひとまず移動の途についたのである。

[4回戦]中央大学2-3日本体育大学東京体育館

25-22 29-27 25-27 21-25 21-23
C)10山本 19高橋駿 1内藤 15千々木 9辰巳 8長山 L12高橋賢
N)1高松 14安野(5S途中-:29黒木) 19小林 30山本 5三田 18梅野 L13名内
前回優勝と3位のチームが、木曜日に当たってしまう。これも抽選のアヤである。悲しくとも現実である。
今季の対戦成績は1勝1敗。共にストレート。しかし、それぞれのチームの調子を考えると、どうも印象の薄い対戦ではあった気がする。
とはいえ、このタイミングで当たる試合、接戦になることは予想できることなのだが、それにしても、この試合は予想の域すら平気で越えていたのだ。まさしくデスマッチの様相を呈したのである。
この試合がもしてれび放映されてたら、どんなことになるんじゃ…というのは、思った。
[重心の低いガッツポーズ]
入替戦以来の上り調子を維持している中央がまず2セットを連取する。第3セットも2点くらいのリードを保ちつつ推移していたが、終盤に日体が追いつき、そのまま接戦を経て逆転でセットを取り返したあたりから、徐々に日体が主導権を握ろうという流れになっていた。中でも印象に残ったのは第4セット終盤。2打目名内→3打目梅野と渾身のディグが続き、中央コートに返ったボールを千々木がダイレクトで打ち込むも、そこに付いていた小林が1枚で止めたシーン。ひとつひとつのプレイがピンと張り詰めていて、そして熱かった。見る側も、胸の詰まる感、というのを、かなり長い間抱きつつの観戦であった。
日体がリードしていた第4セットは、そのプレイののち、中央が3連続得点で追い上げたが、最後は内藤のサーブミスでフルセットにもつれこんだ。中央のサーブミスは普段よりも多い感があった。それだけ攻めていることの裏返しなのであろうが。
第5セット、日体はトスを高松に集め、高松はそれをよく決めた。たちまちリードを広げ、コートチェンジ時には日体8-5と3点差がついていた。
ある種ターニングポイントになったのが、その高松の強打をディグしてそれがそのままポイントになった千々木のプレイだったのかもしれない。以後、高松と千々木のノーガードでの打ち合いになった。どちらもよく決めた。中央はじわじわ差を詰め、ついに10-10と同点になる。日体がタイムを取った際に、中央の輪の中から「悔い残すなよ!」という声が聞こえた。
どちらのチームも疲労困憊であるように見受けられた。既にサーブは強く打つことが叶わなかった。サーブだけ、サーバーを起用した方が良いのではないかと思うくらいだった。しかし、それをしないことも含めて「悔い残さない」だったのかどうか…。
長い目で見ると、日体にもうひとつスパイスが加えられていた気がするのが、両エースの打ち合いにシフトしていた日体13-12という局面でのメンバーチェンジである。ここで日体はMB安野に代えて黒木を投入した。長期戦になることを見越したのだろうか。だとしたら、すげぇ。
デュースは延々と続いた。中央はトスの大半を千々木が打って、そして決めていた。その瞬間まで…
日体が22-21でマッチポイントを掴んだ(注:ファイナルセットです)際、サーバー黒木のサーブはレセプションされ、トスは前衛のレフト方面へ上がった。千々木が打ったスパイクは、アンテナの左側に抜けた。
後ろで見ていた学生さんが「よりによって千々木かよ」と呟いた。大きく頷かざるを得なかった。言葉にするのは容易ではないが、最後はそれだけの大車輪になっていた。
引き分けがないのがバレーボールなのだ。決着はそれぞれの試合で付かなければならず、そして、トーナメントではその決着はあまりにも重い。
観ていただけだったのに、試合が終わってからしばらく動けなかった。応援席に一礼するチームに手を叩いて、それから暫くしてようやく重い腰を上げた。再び東京武道館へ行くために。そして、じわじわと、日体というチームの「つよさ」を思った。

[4回戦]筑波大学3-2国際武道大学東京武道館

29-31 18-25 25-22 29-27 15-13
T)5村松 11木原 8椿山 2安井 1篠村 18矢野 L16白石
B)10吉田 9橋本 1中村 2外山 12飯塚 4内山 L34古賀
↑の試合の余韻を背負って重い足取りにて綾瀬に戻る。
着いた時には、まだ試合は始まっておらず、両チームが2コートに分かれてウォーミングアップをしていた(一番手前のコートは国士舘-立命館の試合中)暫くぼーっとしていたら目玉確認時のメモが上手くできなかった。
試合を見始めて「おや?」と思った。筑波のフォーメーションにおおきな変化があったからである。一番インパクトがあるのは椿山。セッター矢野の対角である。前から後ろからパワフルな攻撃を仕掛けてきた。所謂「オポジット」である。篠村の対角センターには2年生の木原が入っていた。試合で見るのは久々な気がする(それこそ関東甲信越以来?)。さらに、リーグ中に負傷した安井がカムバックしていた。ひとつひとつの表情に、この大会、このコートに立てて活躍できていることへの喜びをかみしめているように見受けられた。安井に限らず、筑波は何か開き直りというか、チーム全体が明るく、のびのびした感じに見えたことに、かなり驚いたし、嬉しかったのである。

試合は、武大が2セット先取して始まったが、筑波がそこから取り返し、「また」フルセットに突入した。非常に熱い試合を締めくくったのが、篠村の速攻であったことが、なんとも小気味よかった。その後、筑波は優勝したかのように、全員が勝利の喜びを現していた。
筑波が勝ち進むことを嬉しいと思う反面、ことしの武大の戦いがここで終わってしまうことに寂しさを禁じ得ない。あ、天皇杯