/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

刈谷の土日のつくばのことを。

様々な想いがまだまだまだぐるぐるぐるしている。最終週までチャレンジマッチに近いところにいて、最後の試合でそれが零れていく。こういうことは何度目だろうかとも思うし、そう言われたりもした。
ただ、ただ試合のことを振り返ると、ほんとうに凄まじい記憶ばかりが蘇ってくる。直後についーとしたが、それ自体は「楽しく見られた。ほんとうに感謝の気持ちばかりがこみ上げてくる」という2試合であった。結果が伴わなければどうにもならない試合であることは、重々承知の上で、それでも。

だから記録しておこう。記憶の怪しげなところは多々あるが、それでも。

2014/3/29(土)

つくばユナイテッドSun GAIA 2-3 警視庁フォートファイターズ

19-25 30-28 19-25 26-24 7-15(公式A票 B票

つくば)10五十嵐 4丸山 18加藤 6瀧澤(1S途中-:23南) 3奥村 2浜崎 L22吉野
警視庁)2清水 14中道 13中村 20鈴木 25金丸 6松本 L8石川

ことしのつくばは学生インターンのいない、選手総勢14人のチーム。チーム自体のまとまりや熱量の高まり方に惹かれつつも、恐れていたことがあった。それをことばにしてはいけないと思っていた。ことばにせずに、恐れていることが起こらないように起こらないようにと密やかに祈るだけの日々を、ここまで過ごしてきていた。

第1セット、最初のテクニカルタイムアウトを迎える前に、しかし、その…恐れていたアクシデントが起こった。じわじわとリードを拡げた警視庁に、自らのサービスエースから点差を詰めて、更にローテーションを廻した後にスパイクポイントを決めた瀧澤が足を痛めた。つくば6-7の折だった。しばし動けず、しかしなんとか踏ん張ろうとして、されど…。ベンチから南が交代出場でコートに立つ、いきなりの状況。
もう既に猛打賞は確実だろうというくらいの状況で瀧澤瀧澤と畳みかけていたところを、ここからどうするんだろう、とは思った。突然の出番にもかかわらず、南は非常によく踏ん張ってチームをもりたててきていたが、中盤からじわじわと点差が広がり、第1セットは警視庁が先取した。

第2セットも2-3点のビハインドのまま試合は進む。瀧澤は第1セット中に治療を終えてベンチに座っていたが、立ち上がりかけては制止されたりしていた。しかし、コート上のすべての選手に、何かがのりうつり、激しいものがそこかしこから溢れてきていた。
20140329|Keishicho-TUSG[もってこいよーー!]
それでも、テクニカルタイムアウトを2回経ても点差は縮まらず。終盤のつくばはいつもと若干交代のスタイルを変えた。五十嵐のところでリリーフサーバーに#17平尾を投入し、平尾を後衛3ローテ廻した。そして、五十嵐の次、丸山のところで#16柳川をリリーフサーバーとして投入する。そんななかでつくばは南のサーブポイントなどで徐々に点差を詰めていく。21-23から加藤のスパイク、そしてブロックで同点に。デュースに持ち込み、そして終盤にサーブ南→#24白石。つくばが粘り強く第2セットを奪い取った。加藤が凄まじかった。

第3セットは、しかし警視庁のペース。10点頃に一度競り合うものの、2度目のテクニカルタイム前からじわじわと警視庁がブレイクを積み重ねてリードを拡げた。つくばは柳川のサービスエースなどで追い上げるも及ばず、逆に警視庁のリリーフサーバー小川投入のタイミングで一気にブレイクが重なった。最後は清水が決める。

あとがなくなったつくば。第4セットに突入し、警視庁の粘り強い守りのなかで、なかなか突破点を見出せずにいた。それぞれの気迫は凄まじかったが、なかなか点に結びつかない。2回のテクニカルタイムアウトを経たところで13-16。
ここからひとつの波が来る。一気に4連続得点で逆転し、リードする。その後攻防の後、まずは23-24と警視庁がマッチポイントを握るが、そこからつくばが3連続得点で執念のフルセットに持ち込む。加藤にボールを集めつつ、丸山がよく効いていた。

迎えたファイナルセット、つくばはリザーブの選手がスタートの選手達の背中を押して送り出すようにしてコートへ。コートに向かったメンバーの顔つきに、怖いくらい気迫が漲っていた。
20140329|Keishicho-TUSG

警視庁のファーストサーバー中道のサービスエースで始まったこのセットは、しかし、コートチェンジ直後、7-9に登場した警視庁のリリーフサーバー・当間のローテーションからそのまま一気に進んでしまった。総力は注がれたが、力尽きた。

警視庁とつくばが勝敗で並んだ。そうなると、セット率が大きく響いてくる。警視庁はこの時点で2位以内を確実にし、つくばは、前の試合で富士通にストレート勝ちを収めた大分三好に、日曜日に勝つことが、チャレンジマッチ進出への条件となった。

凄まじい「チームのチカラ」を見せつけられたからか、見ている側は、割とこの結果を平静に受け止めていた。ご飯を食べて帰ってきて寝て起きるまでは、割と普通にしていた。

2014/3/30(日)

つくばユナイテッドSun GAIA 2-3 大分三好ヴァイセアドラー

23-25 25-19 25-20 23-25 13-15 (公式A票 B票)

目が覚めたら、急に震えてきた。おなかがいたくなった。なぜだかわからない。
たぶん、相手が大分三好だからなんだろう。勝った方、どちらかしか来週が無い。
雪のカピオで同じカードを見て、たぶんその余韻がわたしを今ここに連れてきたんだろうとか、文字にするにはまだまだことばが出てこない、いろいろなことについて考えていた。外はつよい雨が降っていた。
会場に着いたら、会場の一部分で雨漏りが発生したとかで、コート割りが前日と逆になっていた。そんな中、わたしは相変わらず、選手よりも怪しいテンションで震えながら、ウォーミングアップを見ていた。

容赦ない。試合が始まった。コートに入ったメンバーを見て*1、驚いた。

大分三好)8石垣(3S途中-4S途中:9井口) 2徳丸 4モハメド・カダブ 7細川 5橋本(2S途中-:18大道) 10山田 L11辻口智
つくば)10五十嵐 4丸山 18加藤 6瀧澤 3奥村 2浜崎 L22吉野

瀧澤強行出場。動揺した自分のメモに、6って2回書かれていた。チームドクターが駆けつけ、痛み止めを打っての出場と聞いた。だいじょうぶか…というのが、まず胸に去来した。

しかし、蓋を開けるとその瀧澤がすごかった。いきなり2得点、そしてサーブで崩して序盤つくばのダッシュに導いた。最初のテクニカルタイムアウトは8-3だった。思えばこのセットをちゃんと取っておければ、だったのだ。大分三好がブロックなどでじわじわとブレイクし、点差を詰めて、最後はつくばに連続ミスが出て、まず大分三好が1セット先取。

雨のせいもあったからか、コートは非常によく濡れていた。試合がおこなわれていたときはそこそこ暑くもあった。第2セット途中、加藤が膝サポーターに床ふき用の雑巾を装備したのをはじめ、つくばの多くの選手が雑巾隊に荷担した。
20140330|OitaMiyoshi-TUSG

第2セットに入り、つくばは第1セットで出なかったブロックが出始め、徐々に優位に試合を進めていく。大分三好は選手を交代させながら応戦したが、第2セットと、続く第3セットはつくばが連取した。

なんとか第4セットで決めたいつくばだったが、序盤から大分三好のモー(モハメド・カダブ)、細川などのサーブで一気にリードを拡げられる。大分三好は第4セット、ローテーションを1つ廻し、MBの前後を入れ替え、下記のようにしていた。
18大道 44モハメド・カダブ 7細川 2徳丸 10山田 9井口(→8石垣) L11辻口智

ファーストテクニカルタイムアウト、3-8。

しかし、ここからのつくばの逆襲が凄まじかった。
20140330|OitaMiyoshi-TUSG

瀧澤のアタックで1点返し、そのままサーブに下がった瀧澤が、2連続サーブポイント。さらにさらにさらにブレイクは続く。バックから突き刺したり、フロントから五十嵐が決めたり、大分三好にミスがあったり、ブロックが決まったり…で、一気に逆転の上、12-8とつくばがリードを拡げる。バレーボールの神様というのがどこかで待機していて、降り立つべき人のところに降り立つ仕組みになっているのだろう、そう思った。瀧澤だけじゃない。つくばのそれぞれの、背中に、たぶん羽根が生えていた。

そのままいきたかった。

20点まではリードを保っていた。しかし、終盤の終盤になって、大分三好はモー大爆発。こんな凄まじいのを見たことはあったか、という勢いで、一気にこのセットをひっくり返した。その迫力、半端なかった。

そしてフルセットになった。

20140330|OitaMiyoshi-TUSG

コートチェンジの時に2点のビハインドがあった。ひとつチャンスがあれば寄り添える差だった。しかし、最後まで、そこまでのチャンスは来なかった。確かカピオの時もそんなファイナルセットだったと記憶している。どちらにどう転ぶかわからないという、そんな状況で終盤まで行って、あのときはちょっとしたことで間一髪つくばが交わした。ただ、今回はそうはならなかった。

試合が終わった。
しばしの放心のあと、ただただ手をたたいていた。

この試合が終わってしまって、このシーズンが終わってしまって、来週見られないのが寂しいと思った。悔しいよりも前に。やっぱり、このチームにはありがとうとしか言えない、そう思った。だから…ありがとう、おつかれさまでした、とだけ、試合後に、ちゃんと言いに行った。言えた。

わかってるよ。ありがとうとか、楽しく見られたとかは、今言われてもどうしようもない、ってことは。でも…。

飛行機に乗らなければならなかったので、次の試合での警視庁の優勝シーンは見られなかった。外の雨は上がっていた。大分三好もじわじわと帰路についていたようだ(表彰式にはふたりと伺った…)。

*1:2コート進行なので、ボールは投げるが、スタメンコールは無い