/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

非常時のヨドバシカメラ、そして赤いサイロ

非常時である。週に1回位の休業日を交代で埋めながら、シゴトバに行って働いている。普段よりもちょっとだけ早く出勤して、なんとか密を回避しようとしている。路線も選ばないといけない、ってのはあるかもしれない。

最近、平日については、ほぼ自宅とシゴトバの往復に終始しているのだが、きょう、久しぶりに、自宅のPCに繋げる某周辺機器を求めるべく、仕事の帰りにヨドバシカメラに行った。ヨドバシカメラは、営業時間を短縮し、あいていれば混雑が予想される、ゲームとおもちゃの売り場を閉鎖した状態で、店を開けているという情報は得ていた。

いざサツエキに向かい、ヨドバシに向かう道すがら、7割方店舗が閉まった状態のショッピングモールをとおった。「当面の間」と「緊急事態宣言が解除されるまで」は、どちらがあとの日付を指しているのだろうかと素朴な疑問をいだきつつ、その道中、左右の店構えを見るだけで気持ちが重くなっていた。あそこもあそこもあそこも閉まっていた。それは、残念ではあるが、無理もないことである。

ヨドバシの前まで来て、あれ?と思った。開いているとサイトで読んだのに、閉まっているかのように、入口は静かであった。よく見ると、入口と出口、それぞれを別にし、各々扉一つを割り当てていた。入口にはスプレーの消毒用アルコールが置かれていて、店員さんが立っていた。手を消毒するべくシュッシュッとアルコールを吹きかけると、「買うものは決まってますか?」と店員さんに訊かれた。答えたら、売り場の方向を教えてくれて、そのあと「それなら、高いものしかないかもしれません」と説明された。開店してはいるが、かなりの厳戒態勢であるということが見て取れた。

建物の中に入ると、まず携帯電話の売り場があるのだが、そこの店員さんが、各々、おそらくハンドメイドであろうフェイスシールドをつけて、書類だけをお客さんと交わし、極力会話を少なくしながら業務をこなしていた。そこを通り抜けて、目的の品がある売り場へ向かった。なるほど、予算と在庫を天秤にかけると、選択肢はかなり少ない。通常、斯様なものについては、周辺数店舗を回って吟味して買うのだが、今回はそうもいかない。複数カテゴリにまたがって売られているのだが、売り場に立つ店員も少なく、疑問点の確認もままならない。別カテゴリで別商品を見ていたら、聞きたいことがあって手に持っていた商品のタグが反応して鳴り始めた。そんなつもりはなかった。応答した店員さんに手短に疑問点を確認し、もう一つ買う必要のあるものを把握し、手に持った商品を購入し、さっさと店をあとにした。これでもかというほどうやうやしくけたたましくお客さんを迎え入れるいつもの店構えが懐かしくもなり、かなり寂しい気持ちになった。店に向かったときに通ったモールではなく、外を通って、駅まで戻った。明らかに、日常ではなかった。

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サツエキを見上げる。なみだがこぼれないように。

あまりにもかなしかったので、駅の構内で営業している数少ない店である、北海道名品を扱うところにふらっと入った。入口で、初めて、生きている(じゃないわ)赤いサイロを見かけた。赤いサイロと、チーズと、調子乗っていろいろ買った。家に帰って、家族と、そだねーと言いながら、食事のあとに半分ずつたべた。

これから、緊急事態がどう収束し、日常に近づいていくのかはわからないが、自分にとっての日常だったもの、愉しかったものが、思い出にだけなってしまい、もう同じように味わうことができないのではないかということを考えるたびに、ことばが何処かに行ってしまう。暮らしを、愉しみ方を、変えていかなければならないのか。いまと、しばらくあとと、ということではなく、ずっと。