ある凱旋について - 2019-20 V2 土浦大会(1)
春高予選に行ったとき、きたえーるの駐車場にヴォレアスの黒いワゴン車が1台停まっていた。この車は2台あって、それぞれのナンバーには設立された年と月日が設定されている。そのナンバーを思い出す。2016。ああ、それから3年経ったのだ。
2015-16のつくばユナイテッドSun GAIAで主将を務めた白石啓丈選手がチームを去ったのは、そのシーズンが終わって、ファン感謝祭が終わって、しばらく経ってから、2016年6月になってから、だった。突然の発表に驚きを隠せなかったのを憶えている。
サンガイアの主将として、いちどインタビューをしている↓
退団した後もしばらくつくばにはとどまっていたようで、9月のサマーカップを見に桜に赴いたときにもお会いした。また遠からずお目にかかれるみたいなことをおっしゃっていた。お?と思っていたら、翌月、北海道にやってきた。ヴォレアス北海道という新しいバレーボールチームがはじまるということで、その選手のひとりとして、会見にやってきていた。旭川に着いたという日、確か、10月では珍しく、雪が降った。
そこから3年経ったのだということである。
ヴォレアスは、戦力も、体力も、じわじわと備え、ひとつひとつ急速に歩を進めてきた。そして、今季初めてV2リーグを戦うというところまできた。S1ライセンスを持つ。リーグで好成績を挙げられれば、V1チームとの入れ替え戦に臨むこともできる。
この3年の間、時にはヴォレアスを取材する地元の記者(?)として、時にはサンガイアがやってくる夏(?)の留萌合宿での対戦相手として、ヴォレアスの歩みを見ることがあった。決して派手ではないが(ほかが派手だとは言ってい……る)、このチームの地平をしっかり支え続けている存在が、ずっとここには在ったのだと。
そしてほんと久しぶりのV2に戻ってきたのだなと。
今季、わたしはサンガイアを一生懸命見たいと思って、その視点で観戦のスケジュールを組んでいるが、中でもヴォレアスと対戦する機会というのは見たいと思っていた。日程が発表されて、その緒戦が土浦でということを知り、心が躍ったというか震えた。留萌合宿では何回か見た組み合わせであったが、公式戦では、勿論、初めてだ。
11月23日、土浦・水郷体育館。
ヴォレアス4連勝、サンガイア4連敗で迎えた試合、今までになく、ヴォレアスがつよさを見せつけた。つよさというか、なんというか、想像以上の懐の深さ、どう攻め、どう守るか、どう点を取っていくか、繋げる中でどう切れ込むか。そして観る者はどうそれを支えて後押しするか。
見せ付けられた。
試合が終わってヒーローインタビューに呼ばれたのは、リベロ白石。
ひとつの決意を胸に北へ旅立ったひとを迎えた試合、圧倒された試合。なんとサーブレシーブの成功率は100%だった。サンガイアのサーブが其処に魅了されて吸い込まれて行った。なんでみんな白石いくねんと言いながら見ていた(
このひとが旅立った先のヴォレアスでひとつひとつ積み重ねていること、今もつくばを愛していること、この愛し愛されるつくば「ホーム」でひとつの結果を出す原動力になったこと。わたしは完全にこの試合を緑色の服を着た人として見て、くやしーと言いまくっているのだが、その中で、なんともいえない響きをかもし出していたのが、このひとであったと。
この日も、その次の日も、試合後多くの方が声をかけていて、その波は、なかなかたえなかった。なんとも、ことばにならない状態で、見つめていた2日間だったなあと、振り返る。
もちろんこの「凱旋」は通過点であって、その先を見据えていかなければならないことは、心に在りつつも、これも、シーズンのひとつの記憶になる。