/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

移籍の夏

…だけじゃないのがことしの厳しく切なく激しいところ。

女子では本日付の新聞報道やチーム公式サイトでの発表により、全日本を経験した数名のビッグネームをはじめ、何人かの移籍や退団が発表された。男子では、活動を休止したNECブルーロケッツの選手のうち、そのまま社業に専念する選手について、チーム公式のBBSにて発表されていた。

きょう追った記事でキニナッタのは、高橋みゆき転身の方向性…以上に、同じ記事に出ていたこの件だった。

全日本女子の元エースでアテネ五輪代表の山本(旧姓・大友)愛(27)も久光製薬を退団したことが30日、関係者の話で分かった。現役を続行する意思があり、日本協会が管理する1日付の移籍希望者リストに名を連ねる。(後略

http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/ballsports/news/20090630-OHT1T00256.htm

移籍希望者リストって、その仕組みはいつから出来たのか…というのを、実は当方把握していなかった。複数の方から教えていただいて、そういうしくみがあることを知る。Vリーグの公式サイトに規程が掲載されていることを知った。どうも、今年4月に改定されたばかりということのようである。
Vリーグ間の移籍手続きに関する規程(Vリーグ公式・PDF)

実は、各チームに所属する選手はそれぞれ契約形態が異なるわけで、そこを「Vリーグという同じ枠内で戦う選手」として共通に括る基準っていうのは無いのだろうと思っていたのである。ところが、「Vリーグ登録選手」としての定義づけは、この規程の第3条によって既になされていた。

  1. 所属選手…Vリーグ機構規約(PDF)第57条*1に基づく選手契約を、チームが現に結んでいる選手。
  2. 登録選手…登録規定に基づき、Vリーグ機構が登録の有効を認めた選手*2
  3. 移籍…Vリーグに所属していた選手が、離籍後1年以内に新たなVリーグチームの所属選手になる
  4. 離籍…Vリーグに所属していた選手が、所属選手ではなくなる
  5. 移籍希望(区分A)…他チームへの移籍を希望している選手で、Vリーグ機構主催の大会*3への出場を、前所属チームが離籍日直後から認めている選手。
  6. 移籍希望(区分B)…他チームへの移籍を希望している選手で、Vリーグ機構主催の大会への出場を、前所属チームが離籍後1年間認めていない選手*4
  7. 引退選手…社業専念、9人制やビーチバレーなどへの専念

…実は個別に「このケースってどれにあたるんだろうなぁ」というのはある。いちばん身近にあるケースでは、学生時分にVリーグ所属のチームでプレイをし、卒業後に地域リーグ所属のチームでプレイ、というのはどうなのだろうとか(書かれていないだけで、Vから見ると「引退」扱いなのか?)、以前ここでもコメント欄が爆発したことがあったんだが、卒業ギリギリまでVリーグチームに所属していた学生選手が、卒業後別のチームに、というのはどうなのだろう、区分Aの移籍にあたるのだろうか…*5とか。
#そういえば、「内定選手」というコトバは、実は公式のものではないんっすよね…

各チームはV機構の「社員」であり、各チームの構成員は上記規約、規程によりその立場を定義されている。しかし、Vリーグを見るうえで重要なファクターになってくるチーム構成に関する情報は、現在共通化されたフォーマットで見るものに伝わってきているとは言いがたい。たとえば、サッカーでいうところの「ら」のように、ファンやサポーターを含めた不特定多数に可視化されてはいない(ぴくっとした方すみません)。「ら」スレとか情報交換とかって、大本営が一定のフォーマットで発表しているからこそ可能なものなんだよね…

しかし、Vリーグの場合、このフォーマット自体は存在しているようなのだが、確認できるひとが限られているのである。以下、「Vリーグ間の移籍手続きに関する規程」より(強調 by dhalmel)。

Vリーグ機構は、インターネットのWEB上に関係者のみが閲覧可能な特設サイトを開設し、ここに移籍および引退選手に関する情報を公示する。

ここまで調べて、ようやく冒頭で書かれていた記事の記述が理解できた。そうかぁ、関係者は見られる場所に、そういう情報があるんだなぁ。ということがわかった。
しかし、各チームによるニュースリリースのタイミングがまちまちである状況も含め、その競技を「見る」立場に立っているのかどうかわからない情報提供のしかたには若干疑問を禁じえない。もしや、社外秘になるところの人事異動通知と同じ扱いなのだろうか。「個人情報保護上」とか、ひょっとすると「プロじゃないから」とか、そういうことなのだろうか。細やかで難しい事情、というものなのだろうか。

どうも「見えない」のである。見えないところから見えてしまうのは、「Vリーグ」自体のパイが小さいんだなぁということと、そこを行きかう選手の層は厚いわけではないんだなぁというところ、それと、どうしても「移籍」というかたちでの選手の動きをまっすぐに受け止めきれないところがある、少なからぬファンの心情。

追記

どうも、V機構の以前のリリースに「チーム登録台帳について」と書かれていたのを見て「おや?」と思ったりしたわけですよ。「台帳」って、それ、内部の言葉じゃねーの?と。なんか舞台裏が透けて見えたようなくすぐったさがあったなぁ、今にして思えば。

*1:現在のVリーグにおける多種多様なチーム・選手形態が端的にまとまっているんだなぁ苦労したんだろうなぁとじわじわ沁みる

*2:これは有効日がサイトに掲載されるのでわかりやすい。サマーリーグ期間中にフラグが立つというきょわい例もあったなぁそういえば

*3:Vリーグやらサマーリーグやら。天皇杯や黒鷲は含まない

*4:そういえば、現行の規程には「移籍承諾書」についての記述はない

*5:今になって紐解くと、その件、実はVリーグ機構登録規程第13条に引っかかってたんじゃね?あれ、そのときの規程ってどうだったんだっけ?と思ってみたりも