/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

ふたつの「ホーム」を繋ぐ地

※本稿は、バレーボールアドベントカレンダー用のエントリです。もーいっかい!

きょうは「雪はないけど雪まつり雪像の骨組み始まってました」なクリスマスイブである。ブラッククリスマスというヤツである。ことしの試合観戦は一段落したのだが、シーズンインしてからも、今季は今のところ取り立てて雪のお陰でどうのこうのとなっていなくてありがたい限りである。年が明けてからはどうだか識らないが。めりーくりすます(なんかのついで感)。

アドベントカレンダーに参加されている方々のエントリや、普段のツイートなどを見かけていて、あるいは、自分の観戦してきた状況を思い出したりして、ひとつ思うのは、バレーボールを見て心を動かされた経験(それはTVであっても、何らかの観戦機会であっても)から、続けて、いろいろな経験を積んでいけるかどうか、というのは、ひとえに自分の現在位置に依存するところがあるんだろうなということ。

バレーボールを見に行くというのは、バレーボールを見に(バレーボールをやっているのを見られる遠いところまで)行く、ということと同義だと、バレーボールを見始めた頃には思っていた。バレーボールは、いつか「見に行けたらいいな」と思う存在だった。大学生になって、首都圏を住まいとして、科目履修の届けを出しに行った帰り、初めて「関東大学1部バレーボールリーグ戦」を見て、そういう世界があるのだと、初めて目の前が開けた気がした。そんな記憶を、ン年経ってから、全カレ会場でもらった「年刊バレーボール」を読みながら、急に蘇らせていたのだった。

少々間のあく時期を挟みつつ、自分の中で、バレーボールを見るといえば関東の大学を中心に廻っていた期間がけっこう長くあった(というのは、このブログがはじまった頃に書いた文章にも表現されているかもしれない)。間が空いていた時期の中には、Jリーグに赴いて、贔屓のチームを見ていた時間も含まれる。ホーム、という響きがとても眩しかった。そもそも、スポーツを観るようになったきっかけがプロ野球で、やっぱり生まれ育った場所では「年何回かいろんなチームが円山球場に来てデーゲームをやる」が標準だったので、贔屓になったカープ周辺のホーム感にすごく憧れたんだったなあと……。

前置きで1000文字近く行った。

関東で主に大学の試合を観ていた時期に、その設立に出逢って応援するようになったチームが出来た。そのチームはつくばユナイテッドSun GAIAという名前をつけて、活動を始めた。それでVリーグ(見ていたのは主にV・チャレンジリーグとなったが、その頃は地の利もあってプレミアにもしばしば見に行くことが出来た)を見ることも増えた。ホームゲームなる概念が、今ほどすべてのチームに義務づけられていない頃から、そのチームのホームゲームとしておこなわれる試合の感触はひと味違っていた。「つくばカピオ」は、いちばん大好きなハコになった。

その後諸般の事情により、わたしは2011年の秋を過ぎて、実家のある札幌を拠点とすることになった。やっぱり札幌ではVリーグは見られなかったし、地元でも大学バレーがあるのは識っていたが、どんな感じなのか未知数だった。たまたま、関東の大学バレーやV・チャレンジリーグ(当時)という、わたしが首都圏にいた折りに好んで見ていたところで活躍していた方々が、北海道の大学バレーにおいて重要な位置にあって、「よろしかったら観に来てください」などと身に余る言葉をいただいたりした。それで、翌2012年の春から、じわじわと北海道の大学リーグに、これまでと同じようにカメラを抱えておじゃまするようになった。

札幌に戻ったばかりの頃には、やっぱり、バレーボールって「どこか遠くに見に行く」ものなのだと思っていたし、そう思おうとしていた節もあった。これまでのようには見られないのだと割り切ろうとしていたのかもしれない。今、文字にしてみると「えっなんで」という感覚はあれど、だ。

結果的に、今の自分には、その身を置き拠点としている「ホーム」と、しばしば赴くだけで住んだことがないのに、その場を訪れることで心が晴れやかになりじーんと響く「ホーム」が交叉している状態になっているようだ。そして、おおくのひとたちの尽力と愛と執着により、前者の「ホーム」も、ずいぶんと、バレーボールを愉しめる場所になって来た。

北海道の北西に「留萌」というまちがある。わたしのだいすきなチーム、つくばユナイテッドSun GAIA(サンガイア)を創設された都澤凡夫先生(前サンガイア理事長)の出身地である。サンガイアは2014年から、この留萌の地で夏の合宿をおこなうようになった(この年、先生にお話を伺うことが出来たことを、今も噛みしめている)。留萌には、北海道の高校や大学の選抜チームが招かれ、練習試合をおこなっている。札幌から行く機会がなかったこのまちに、わたしは、なんだかんだで始まった年から繰り返し行っている。夕焼けが綺麗な海岸がポイントなのだが、ここ2回は雨にたたられ、その夕焼けの恩恵をうけられずにいる。

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2019年8月25日。留萌にサンガイアとヴォレアスとサフィルヴァが集結した。

この、留萌で繋がってきたバレーボールの輪と熱量は、相当なのだろうなと思っている。外に見に行くのがバレーボールだと思っていたところに、「ホーム」として据わったチームが出来た。ふたつもできた。そのうちのひとつは、今季サンガイアと同じV2リーグに在って、サンガイアにとって「越えたい壁」になっている。年明け、再び直接対決だ。

新しい年が明けたら、北海道を「ホーム」とするふたつのチーム-ヴォレアスとサフィルヴァ-は、それぞれにホームゲームを迎える。その後、ヴォレアスは自らの最終週(2/29~3/1)を、ホーム旭川からちょっと離れた、道東・帯広の新装体育館で迎える。そして、前の週に「つくばカピオ」でのホームゲームを終えたサンガイアが、いよいよ帯広にやってくる。留萌の方々は、毎年夏に熱くサンガイアを支えているが、ついにその方々が道内で試合を見られるのだということを思う度に、目頭が熱くなる。どうか(今くらいとは言わないが)、あまり多くの雪が留萌を襲わずに(留萌は豪雪地帯である。帯広はそうでもないしむしろスケート文化圏だが、とにかく寒い)、留萌のみなさんが無事に帯広に行けて、帯広でサンガイアを見られればと思っているのである。

バレーボールは必ずしも「遠くに見に行くもの」とは限らなくなったが、それでもわたしの移動距離はそんなには短くならないのだろう。遠くにも、大切なホームがあるから。そして、いくつかのホームを繋ぐ場所としての留萌で、いつもバレーボールのたのしさと、そこに愛を注ぐひとたちの存在と、そのひとたちが紡ぐ愛を感じているから。