トゥン。
関東の酷暑が少々和らいだとも、招かれざる台風さんの来襲でなにがなんだかとも、遠くから音に聞く。
あの酷暑の中で、コートを見ていたときのことを、不意に思い出す。見ていたときに、実は、カメラを構える手を止めて、目と耳だけをはたらかせていた時間があったんだったなあと思い起こした。
その手から指からボールが放たれて、「とぅん」と音を立てて、目的を果たされに行く。そういうボールを、いくつか、目で追った。
いつしか、そのあとの、もっと大きく力強い音よりも、その前のボールに託された意志を、意識するようになっていたなあと。