/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

おらとサンガイア2014(後編) - わからない。わからないなりに

「わたしが見ていたつくばユナイテッドSun GAIA」についての、後編。だ。たぶん。シーズンも途上だし、ここからは、けっこう時系列…でもなく書いていくことになるのかもしれない。→前編
20140831|TUSG-Verdy[8/31 牛久]

Scrap and Build

留萌で、さまざまな方々の尽力によって実現した合宿。海を越えてやってきた「サンガイア」を見に、そして、その中のひとのことばをいくつか伺いに(そしてしみじみと湯につかりに?)行った。
加藤さんが抜け、自チーム所属セッターがひとりもいない布陣で留萌に来た「サンガイア」は、その中でさまざまな試行錯誤を繰り返していたように思えた。メモが追いつかないくらい、OPとMBの布陣を変えていろいろ試していたのが印象的だったが、それ以外も、さまざまな局面において。
シーズン開始までまだ間があったからか、その前のPOWER OF GREENまで(あるいは、その後の創作盆踊り優勝!)の流れがよかったからか、インタビューに応じる方々はそれぞれにその先に向けての自信に満ちて、非常に高揚する空気をこちら側に伝えてくださった。それがこちらを勇気付けると同時に、なんとなくくすぐったい感情をもたらしていた。見つめる地元の目、もあいまって(そして地元の目のうちのふたつ、を自分自身が担っていた感、も込みで)。
20140810|Ibaraki(TUSG&More)-HokkaidoHS
[このとき「サンガイア」の中に在った勝本(大体大4年)。このあと、さいごの全カレで筑波を破る原動力になった…のは、ちと複雑な心境ながらじわりと胸が熱くなった]
留萌に来ていた「サンガイア」こと国体の茨城選抜チームは、国体予選で栃木や埼玉に敗れ、本国体出場はならなかった。翌週のエキシビションマッチは、不思議なところに力が入り、不思議なところが熱い試合だった。急に(留萌では気がつかなかったというか、気がつかないふりをしていたというか)噴き出る不安、も、そこここにあった、かもしれない(自分自身の不甲斐なさも、また、じっとりと感じていた)。

いまをつたえること、つたわること

新戦力を迎えたサンガイアは、日々リーグの開幕に向けて仕上げに入っていた(と伺っていたし、そうなのだろうと想像も膨らませていた)。加藤さんが本格的にチームを離れる*1ことが明らかになり、留萌でも聞いたターム「脱・加藤」を本格的に実感させられるようになったところで、じゃあ、今のサンガイアがどんなチームで、どんな選手がいて、どんなバレーをしてて、日々どのように課題を持って取り組んでいるのか、その部分がタイムリーに感じられないことが非常にもどかしく思えてならない、ということが増えた。チームは誰にとってたいせつな存在なのであるか。そばにいて、直接何かしらの関係を築いているところがたいせつであるというのは、そりゃそうなんだと思っていても、なんだかもどかしいのだ。これは、いわゆる実業団チームでの「会社の人」と「会社の人ではないファン」との関係と、あまり変わらないんじゃないのかな…と、時折思ってしまうことは、ある。
20141026|TUSG-SundaiGakuen[見ないとわからないことが、けっこうあるから]
クラブが、いろいろな意味で、いっぱいいっぱいだというのは、見るからに伝わってくる。先日の(成功はしなかったが)クラウドファンディング企画などを見てもそうだ。福袋を売ってそれを遠征費に充てますと銘打っているのもそうだ。それぞれの選手がそれぞれ職を持ち、日常業務をこなす中で、そうとは思えないくらい多くの練習時間やクラブのための時間を確保していて、いったい1日何時間あるのだ、あれ、自分と同じじゃないか!と気がついて驚く、みたいなのもそうだ。日々、チームは走り続けている。それは、じわじわと伝わってくる。じわじわと伝わってくるだけで充分胸が熱くなるのに、それ以上何を求めているのだ。
「あれがほしいこれがほしい」と言いたくて書いているわけではない。いっぱいいっぱいのところに、求めるだけではなくて、何かこちら側で有り余っているちからを注げる場所がないだろうか。そもそも、ファンたるもの、そう思うこと自体が不遜なのだろうか。ちゃんと正座して待って受け止められればいいのだろうか。…しばしば思うところなのであるが、「誰もが知っている何か」がなくなった現況においては、ひたすら、ざわざわするのである。

最終的にはわたしが天皇杯ブロックラウンド(の途中まで)を見て、開幕目前に公開した、バレーボールワールドでの記事も、そのもどかしさを発露したひとつ、になったのかどうか。尤も、留萌以降、まとまって試合を見られる機会が取れず、また、留萌以降のことを伺う機会がなかなかない中で、若干消化不良になってしまったところがあったか…インタビューの中でのそのときの高揚感とそれを一歩引いて眺めてしまった、記事を公開した時期との微妙な距離も、そのままになっていた感がある。

これからどこに向かうのかを

前述したクラウドファンディングの記事に書かれていた一節が頭に残っている。

このままでは財政基盤が弱くなりがちで、日本バレーボール頂点のプレミアリーグ入れ替え戦に勝ったとしても、財政的な理由からチームの強化及び環境整備が不足し、また、プレミアリーグへの昇格もできない恐れがございます。

【つくばサンガイア】選手の肉体美を表現できるポスターカレンダーを作ります - FAAVOつくば

「〜たとしても」というのが、現状、現実感があるのかどうかはさておく*2。しかし、その先のセンテンスについては、いろいろな事例に触れる中で、ことし、かなりいっぱい頭をめぐった。
「事例」のなかで一番身近で、しかもその絡みもあった、NBLつくばロボッツの事案には、特に、同じ地名を冠するチームを応援する者として、心をえぐられた。たまたま日程の妙で、こちらで見たゲームがつくば戦ばかりだったというのも無縁ではないのだが、「上がりたい。でも、上がって、それからどうするのだろう。どうなろうとするのがよいのだろう」ということを考えるときに、心に引っかかってくるのは、このチームの存在だ。「バスケとバレーの組織の違いが」とか「チームの歴史がそもそも」とか、そういうのは、しばしば頭に浮かぶのだが、慰めになるときと、ならないときがある。
そもそも論として、この国において室内の球技リーグを採算レベルに持っていって、というのは、非常に骨の折れる命題であるのだというのは自覚の中にある。そもそもいろいろ無理がある、というのもわかる。しかし、しかしながら…

POWER OF GREENのヒーローインタビューで聞いたフレーズが、そんなときに頭をリフレインする。

いろいろあるけれど、やっぱり、前に進んでから、考える、それがいいのか。まずは、前に進まないと見えない景色というのが、いっぱいあって(たぶんそれは多くの人が見ること自体かなわずにいて)、今も、その景色を見るところまでたどり着くことができるのか、それ自体、微妙な情勢(なにせ、すでにふたつ黒星を喫して、現時点で6位である)にはあるけれども、それでも…。

思い出そう。ちょっとだけ上を向いて、きりっと前を向いてみようか。気がつけば、10日後に、またホイッスルが鳴るのだと。
20141130|TUSG-KinkiClub

感謝

わたしをまたこのチームにつなげてくれたすべてに、そしてつながってからご一緒したり気にかけたりしてくださったすべてに、このチームのすべてに、感謝しております。来年も、どうぞよろしくお願いいたします。よろしくなどと、こちらから言うのは、おこがましいかもしれませんが。

*1:クラブの経営上の存在があるとはいえ

*2:わたしにとっての「主」がいない状態で見ることになったチャレンジマッチで得た感触は、どうしても忘れられない