XかYかではない解法
前の記事に追記しようかと思ったのだが、あえて別の記事にすることにした。
ベンチに入れる14名をどうするか、スタートから出る6(7)名をどうするか、ということ以上に、チーム全体というのがこの数よりも多い集団である際に、じゃあそれをどう枠として遣っていくのだろうか、というのが非常に重要なのだろうし、それぞれのチームの色が出るところなのだろうと思っている。
ポジションがあって、それぞれに定員があって、それぞれに何人遣える選手がいて、どう組み合わせて、そこに納めていくか。恐らく何かが確立しているチームではそう考えるのだろうが、自分が見ている中ではどうもそういうのが苦手である。枠に収まらない何かを、枠に入れてしまおうというのが、なんとももったいない*1。
転じて日曜のサンガイアのことである。
先日別記事にUPしたとおり、金曜になって新加入選手が発表された。浜田翔太。9月に見たときにはなうぷりんてぃんぐだったシャツネームは「SHOTA」になっていて、きたろーさんみたいだったおぐしはちょとすっきりしていた。
浜田はセッター、ではある。実は、昨季、刈谷でつくばが警視庁との大一番に敗れた後の試合がヴェルディ-大同のそれぞれ最終戦で、そのときに、トスを上げているのを(若干放心しながら)見ていた。恐らく、わたしにとってそれがヴェルディでの見納めであった。
昨季のサンガイアは、その80セットすべてを、移籍初年の浜崎がほぼ上げ続けた。控えにいた*2岩田が、7月のPOWER of GREENを最後に引退した。POWER of GREENはヴェルディとの親善試合だったが、ヴェルディに浜田の姿はなかった。その後退団が伝えられ、夏が過ぎるか過ぎない頃に、サンガイアに合流しているというのが判明し、そして、先日の公式戦初戦である。
長いシーズンをセッターひとりで乗り切るのはかなりたいへんなことであり、それはチームにとってかなり心の臓に宜しくない状況をももたらすことが考えられる。昨季はそれぞれの必死のコンディショニングに敬意を表しつつ、やっぱり、最終週直前までかなりの少人数で、「枠」自体のの考えどころそのものが少ない中で上手に回してきたのは、ほんとうに「ありがたい」ことだったのだ、というのは認識せざるを得ないことなのだと思う。だから、ナニカが必要なのだとも。
でも、セッターはふたりいます、で、どちらかが出ます、というのを、なんとなく考えに入れるのが怖かった。
天皇杯前に何回か練習が公開され、その際にはあたらしい方向性が微妙に見えていた、とも聞いたが、天皇杯の初戦、駿台学園戦第1セットのスタートは下記。
10五十嵐 4丸山 23南 6瀧澤 3奥村 2S浜崎 L22吉野
南がOPに入り、浜田はベンチから、である。この試合の立ち上がり、スタートから駿台学園が走った。一時は6点ほどのビハインドを抱える状況になった。駿台学園が非常に気持ちよく試合を進めていく(それを愉しめる心境になりたかったくらい)反面、サンガイア側は何ともいえず泳いでいる感が強かった。そのまま終盤に至った。
18-21、というところで、サンガイアはセッターを浜崎から浜田に替えた。とたんにブレイクがとんとんと続いた。おお?と思った。なんだかんだで、やっぱりそういう関係性になるのだろうか、そういう遣い分けになるのだろうか。第1セットは既に大詰めで、前衛3ローテを廻った浜田を再び浜崎に戻し、そのサーブでセットは終わった。
次のセットはもしかするとセッター替えてくるのかな、と思ったら、見ていた側にやってきたサンガイアのコートに、ふたりともいた。
その後、代表決定戦まで、サンガイアはその布陣で戦っていた。浜田はレセプションの一端を担い、打ち、拾い、時折ぴゅーっと出てきてトスを上げたりもした。ツーセッター、でもなかったのだ。ワンセッター、ではあったのだが。さっき字面にすると、かなりオフェンスの部分を削っているように思えども、実はそうでもなく、それがまた心地よかった*3。そして、浜崎も3ミリくらい落ち着いた感がした。ほっとした。そして、丸山奥村のMBが非常に頼もしく映ってきて。試合の中で修正できたと言い切れるかどうかは怪しいが、なんとかチームとして、1回戦ストレート負け目前まで追い込まれたところから、ファイナル進出を掴むところまで。
かっこよかったかと問われればそうじゃないのかもしれないが、これからのシーズンを乗り切るためのひとつの解法がここに見えたんだろうなと。枠じゃないし、その枠に入るべきひとが誰なのかではないのだ。希有なオールラウンダーを迎えたからといわれればそれまでだが、それならもっといろいろ出来るチームもあるのだろうから、そういうことじゃないのだ。
願わくば、監督が監督として、専ら監督の仕事が出来る状況が続きますよう。それが、もしかすると今季最大のテーマなのかもと思いつつ。