/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

日本スポーツ産業学会 第2回リサーチ・カンファレンス

http://soj-net.com/research_conference_2_youkou
西早稲田、立派な図書館の上に位置する早稲田大学国際会議場。まずこの建物に行くのに迷い、図書館の入口から入ろうとして休館で入れず…と、西早稲田を出てからうろうろすること20分、となってしまった(図書館、前に行ったことあるのになぁ)。
この大会については、先月協力団体であるSOJ(Sports Of Japan、早稲田大学所沢キャンパス公認サークル)の代表である@mitonista氏のツイートをきっかけに知り、日程的にもアクセス的にも*1都合がも良いので早々に参加申込みをし、とても楽しみにしていたのであった。
大会は、開始後2時間(到着が遅れたので、当方にとっては実質1時間強)は発表者によるポスター展示、その後休憩を挟んで、5室に分かれて各発表を軸にしたディスカッションが4回、という構成で夕方まで続いた。発表者は36名。参加者(当方のように発表しないで見る者含め)は100人を越えたという。発表題目は上部のリンクから辿れる。
発表者は大学生および大学院生、早稲田と順大の関係な方が多かった感。大学院には社会人の方も多々。競技経験、業界経験、およびビジネス経験が豊富な方もいらっしゃった。
ポスター展示のみでディスカッションには参加出来なかったのだが、ここ20年余のスポーツ研究領域変遷についての研究を拝見して、この大会での発表題目に見られる、研究テーマの広がりと賑わいについて納得したしワクワクした。
ディスカッションは何処に入るか迷ったが、結局なんとか選んで4箇所に赴いた。その内容と印象を大まかに。

競技間での集客力の違い、対戦相手による集客力の違い

プロ野球の試合がJリーグの観戦需要に与える影響に関する研究」と「Jリーグにおけるアウェイクラブの集客力に関する研究」の二本立て。Jリーグ発足というのは、いろいろな意味で、この学問分野におけるエポックだったようである。Jリーグに関連するテーマというのは人気が高く、研究室には多数のギャラリーが集まり、議論も白熱した。
前者では「プロ野球Jリーグは互いの観客を食い合っているのか」というあたりがテーマとなった。競技の趣向としては重ならない、という考え方もあるが、同じ地域に時間差で並び立ったときに変化が出てくることもある、という事例も。同じ状況でも、「コンサドーレとファイターズ」と「ジェフとマリーンズ」では事情が違うなど。
後者では、Jリーグにおいて「アウェイクラブの集客力によって、入場料を調整する施策が有効ではないか」という提案がなされた。対戦相手による入場料の違いといえば、思い浮かんだのが野球での巨人戦価格(神宮などでも…)があるが、と言うと、実はJリーグでもヴィッセル神戸で既に導入されているコトではあるらしい(http://www.vissel-kobe.co.jp/ticket-info/index.htmlによると、浦和+両大阪がちょっと高めの設定)。
このテーマは深いのだが、野球とサッカーでの食い合い、というところで話が終わってしまうと、それ以外のスポーツが浮かばれないので保留。

スポーツ活動の財政支援、地域に根ざすクラブの在りよう

同じ部屋にて引き続き。「スポーツ選手・チームを応援する人たちの購買力を利用したスポーツ活動の財政支援に関する研究」と「府中アスレティックFCFリーグ参入がホームタウンにもたらす”価値”の検証」。前述「競技経験、業界経験、およびビジネス経験が豊富な方」による発表で、含蓄があった。スポーツの育ち方(育て方)、クラブの育ち方(育て方)について、いろいろと示唆を得る。事例をひとつでも多く挙げ、紹介することが、研究分野にとっても大事であるということを感じる。今後つくばを見るときにも、ふと考えてしまうなぁ…
ところで明日府中のホームゲームがあるそうなのだが行こうかなと考え始めているところ。

集客力を高めるには…?

「スポーツ実施とスポーツ観戦の関連性の研究-V・プレミアリーグの観戦者を事例に-」と「スポーツ観戦者の満足度に関する研究-ジャパンラグビートップリーグを事例として-」。実業団主体の国内リーグにおける課題、というところで、共通性がある部分が見受けられるのかな…と邪推するところ。どちらの研究においても、競技者と観戦者との親和性はそんなに高くない…かもというのは見える。サッカーでも似たような話を最近聞いたしなぁ(→なぜ日本ではサッカープレーヤーがJリーグを見ないのか? - Togetter)、とか。
ラグビーもバレーボールも、カテゴリごとに集客力の違いがある。たとえばバレーボールにおいては、国際試合のTV中継時にもっと「ちょっと先にあるVリーグの宣伝をしたほうがいい」という声があがる。カテゴリ毎の連携って、それぞれの競技団体で、果たして出来ているのだろうかという疑問は…あるなぁやっぱり。

そもそも論への回帰と出ない結論

「大相撲部屋経営課題に関する一考察-リクルートに焦点を当てて-」。日本人の新弟子が減っている、というのが現在の相撲におけるひとつの課題*2であるという視点から、新弟子をある程度定期的に確保できている某部屋に焦点を当て、その部屋の構成員(師匠、おかみさん、力士ほか)へのインタビューを経て論を進めていくという研究。入門へのプロセスを明確化し、引退後の進路を含めてのキャリア構築を進めていくというのが印象に残る。
実は、ポスターを拝見して、すぐ、どの部屋かわかったのは内緒。本家から独立後10年未満で、内弟子を持たずゼロから弟子を集め始め、Webを活用し、構成員の過半数がWeb経由での入門であるという事象。協会と部屋(と力士)との関連性、そもそもどうやったら部屋を持つ師匠になれるのかという方向性の曖昧さ、ほか…結局気になることを紐解くと、「じゃあ相撲っていったい何なのか」的なところに繋がってしまう難しさはあるのだろうな。
出来れば、別の部屋の事象も知りたいなぁ…などと思いつつ。

まとまらんけどまとめ

研究者でも学生でもない、そもそも何故ここにいるんだろうというようなよくわからない者なりに、研究やディスカッションを愉しませていただいた。関係する方々には感謝の限りである。この大会への参加については、今後、広く門戸を拡げてくださるという話ではあるので、次回以降は是非同行者募集、かもしれぬ。
詳細を拝見できなかった研究については、発表要旨集をいただいたので、これをよく読んでみたいと思う。皆様おつかれさまです&ありがとうございました。

*1:といってる割に迷っていたので世話ないが

*2:おそらく研究を始められた段階では、八百長問題はまだ知る人ぞ知るで燻っていた問題だったのだと思われる