/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

ありがとう

そりゃ希望を胸に抱いて大冒険…とまでは行かなかったかもしれない。でも、シーズンの終わり、最後の最後でこの試合が見られたことについては、ほんとうに嬉しくてどうしようもない。

きのうの第4試合。試合開始予定は18:00だったが、長い試合が続いたので、若干試合進行は遅れていた。女子の試合のほうが進行が早めであったが、第4試合に出場するパイオニアの到着がギリギリになり*1、目の前を駆け抜けて奥のコートに向かっていった頃、ちょうど前の試合・サントリー-豊田合成は佳境に入っていた。

フルセットで第3試合に決着がつくと、第4試合に出場する両チームがコートに姿を現した。

2010年天皇杯ファイナルラウンド準々決勝

パナソニックパンサーズ 3-0 中央大学

25-21 25-19 25-19
[START]
P)15福澤 13枩田 1清水 11シウマル 6白澤 2宇佐美 L17永野
C)12高橋駿 8千々木 4長山 3辰巳 10白岩 21傳田 L2高橋賢

既に12月の声を聞くか聞かないところから、中央は「負けたら今年はこれで終わり」という試合を戦い続けていた。全日本インカレのあとに天皇杯を戦う、ということは事前に決まっていたけれど、インカレはインカレで「一つでも先に、そして最後まで勝ち続ける」ことを目指していたわけだ。尤も、インカレでは最終日の最終セットまで走り続けてそこでは力尽きた。ギリギリまで戦ったからこそ、天皇杯に向けてのテンションがあげられたのだろう。
「今度こそこれで終わり」の大会である天皇杯で、中央は岐阜クラブに勝ち、FC東京との接戦を制し、ついにこの日を迎えた。

第1セット。試合は福澤のサーブから始まった。1点目は千々木がライトから決めた。以後、双方交互に加点が続いた。それぞれに攻めるサーブのミスはあれど、引き締まった展開で試合が進んでいった。実はそれだけで胸が熱くなった。パナに勝つ、それ以前にこの試合につよく願ったことは、試合がぶっ壊れないこと。この時間が、どちらも緊迫した状態で続いていくことであった。パナがリードを奪おうとすると中央も必死についていった。
中央は12-14で山本投入。その後すかさずパナも山本投入。以後、パナは暫く山本をミドルで起用した。終盤はそれぞれサーブミスも多い展開であったが、要所要所で福澤がポイントを重ね、最後は清水が打ち切った。
第2セット、パナは引き続きMBに山本。千々木がサーブに下がった後、前衛にあがった白岩が捕まる。その分辰巳の切れ味はあるものの、シウマルのサーブポイントなども手伝ってパナ8-5でテクニカルタイムアウトとなる。テクニカルタイムアウト後、白岩を渡辺に交代するが、その渡辺のスパイクもアウトとなり、以後徐々にパナが点差を広げていった。キャプテン山本は早めに投入され、すぐに長いラリーの中で中央に流れが来そうな展開もあったが、結局そこを押さえたのは福澤で、やはりそれ以降歯止めが利かぬまま、2回目のテクニカルタイムアウトは、パナ16-9という大差で迎えることとなってしまった。
ここで、パナはシウマルを谷村に交代。暫くサイドアウトの応酬で点は入っていったが、差が詰まらないまま。中央は長山を岡村に交代。パナ21-14。ここでパナはセッター宇佐美を大竹に交代。
ここから中央が3連続得点し、パナがタイムを取る、という状況はあったが、結局最後は代わった小西が決め、パナが2セット連取となった。
中央はちょっとミスで自滅の目を見せつつもその直前で踏みとどまる。しかしパナの牙城を崩すには至らない…という展開のまま、第3セットに突入した。第3セットのスタートは下記の通り。

P)15福澤 13枩田 1清水 11シウマル 10小西 16大竹 L17永野
C)11岡村 12高橋駿 8千々木 21傳田 3辰巳 14渡辺 L2高橋賢

中央はスタートから1ローテずらした。もうこのあたりはメモはしているのだが、何かにつかまりながら必死に声をあげていたという記憶しかない。しかし、リーグの時などはここからずるずると試合が終わってしまったという局面もあったのだろうが、この試合は最後まで食らいつき、試合の途中で試合が終わる、という展開には至らなかった。それぞれの選手がそれぞれの持ち味をちゃんと示したし、ちゃんとポイントを重ねたし、ひとつひとつのボールを繋いで最後まで挑んだ。もう、それだけで嬉しかった。あとはこの試合が出来るだけ長く続いてほしいと願った。
とはいえ、試合は進んでいき、そして終わる。パナは、このセット途中からコートに入った伊東が尻上がりに調子を上げ、20点前後から得点を重ねていった。マッチポイントも伊東のスパイクだった。辰巳が切り返して19点目を取り、そのまま鋭いサーブを放つも、最後は清水が決めた。

ことし最後まで試合をすることが出来た大学チームは、最後の最後までパナソニックに挑み、そして散った。こりゃひょっとして…という局面には至らなかったので完敗というのだろうが、試合はちゃんと試合として続いた。

勝者も敗者もそれぞれの戦いを讃えた。客席には拍手が起こった。恐らくこのチームを初めて見た方が、いっぱい応援していてくださったのだと思った。それもとても嬉しいことだった。試合後の挨拶では、福澤が中央の各選手とかたく握手をして、そのあとクールダウンが終わるまで中央サイドにいた。
試合が終わった中央では、それぞれの選手がその労をねぎらうべく、それぞれハイタッチをしていた。抱き合う選手もいた。

この天皇杯で、中央は、パナに挑んで、負けて悔しくて泣いて…という状況には至らなかった。しかし、ちゃんと、このシーズンを「終わる」ことが出来た。苦しいシーズンだったが、ちゃんと成し遂げた。キャプテンをはじめとすることしの4年生、そして、チームの全員に、見ていた者としては、ほんとに、感謝しても、しても、したりなかったのである。

一夜明けてブログを拝見したら、父兄の方がコメントをされていて、そのコメントの中でKiroroの「Best Friend」を紹介されていた。それをYoutubeで検索して見たあと、試合を見てからアタマに浮かんだ曲とか、いろいろ聴いて回っていたところ…この曲であっけなく目のどこかの何かを崩壊させられてしまった。


もしももう一度あなたに会えるなら
たった一言伝えたい
ありがとう
ありがとう

http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND43178/index.html

もうちょっと時が経ったらいろいろ思いが巡るのだろうが、とにかく今は「ありがとう」としか出てこない。
そのあとのことは、それこそ年が明けてから考えてもいいじゃないか。
とにかく。
この1年、いろんな局面で、いろんな試合が見られて、最後ちゃんと終われたことに、ありがとう。

*1:バスが渋滞に巻き込まれ、途中下車の上徒歩で駆けつけたという話