「メディア未満」と、その可能性
去年あたりから、ブログで何かを「書く」ことと、そこから何かが波及するのかしないのか、ということを考えているが、ことしはその思索にかなり「踏み込んだ」感じがする。自選(おすすめはしない)エントリー2008 - /ja あやつる YmrDhalmelに対していただいたコメントに元気づけられ、更にかなり調子に乗った。
ほんとは、今読んでいるこの本
- 作者: 小林弘人
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2009/04/03
- メディア: 単行本
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※[徳力] 新世紀メディア論(小林弘人)のまとめは参考になります。読み始めてからより沁みてきます。
バレーボール界隈ではここのところずっと「ファンが知りたいと思っている情報がすぐわからない」問題がある。情報にもいろいろある。ある大会が行なわれるとして、このようなところだろうか。
- 開催前
- 開催時期や場所
- アクセス
- チケット発売方法
- 放送の有無
- 出場するチーム
- 出場する選手
- 空席の有無
- 出場チームの戦力分析、選手のコンディション
- 大会展望や順位予想など
- 開催中・開催後
- 試合の経過、結果
- 各試合の技術的記録
- 試合の総評、感想
- 会場内外での付帯する情報
これらの情報の多くは、適切なタイミングでマスコミでの報道に乗ることがない*1。一次情報を表出可能なのは日本バレーボール協会やVリーグ機構、その他各競技団体なのだろうが、発表はギリギリであることが少なからずある。専門誌としては「月刊バレーボール」が出ているが、ここには紙媒体の限界というものがある。
そんなわけで、実は、自分を含むバレーボールファンが何かを知るきっかけは、マスコミ以外の「何か」であることが多い。ブログだったり、SNSやtwitterだったり、口コミだったり、2ちゃんねるだったり。いろいろ回って調べて、ようやく求めている情報に辿り着く、ということは、多々ある。何かの都合で見逃したら、試合や大会自体を見逃してしまうレベルである。
協会や機構のリリースタイミングや内容云々には勿論いろいろいいたいことがある。しかし、まずは、既存の情報を束ねる、自分の目で見た一次的な情報は伝わるように伝える*2、誰かが何かを発信しているときは、内容を吟味した上でそれを紹介する…等、出来る範囲でやれることはある。より深いところに踏み込める立場の方が、そこにアクセスするためのチャンネルを開いている。地味ではあるが、「メディア」は増えて、枠組みは着実に変わりつつあるし、それぞれが可能な範囲で「メディア」の一翼を担えるようになっている。あとは如何に繋げていけるかである。
ことしした貴重な経験を元に、来年は更に自分で仕掛けられる「行動」について、幅を広げたいものである。
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ここではないどこかで
「情報」には、上記に挙げたほど鮮度を問われない性質のものもある。各チームや選手の方向性、アスリートとしての在り方等を深く感じられるような記事。書き手が手間をかけ、継続的に競技を追い、その結果として出力された記事の重さと、そういった記事に対する需要の大きさはある。
実は、ことしの2月に一度、PRESSバッチを胸に取材に同行させていただいたことがあった。その場では、おそらく普段の1年分くらいの情報量に押しつぶされそうになったと同時に、入ってきたモノの殆どを「それ」として表出できないもどかしさをも知るに至った。http://supportista.jp/2009/12/news29155505.htmlを読んで思ったのだが、ひょっとすると、読み手は(勿論自分も含めて)書き手に、目に入ってきたモノは全て表出してほしいと必要以上に望んでいるんだろうか。そうだとすればかなり書き手にとっては酷な話なんだろう*3。
ファンひとりひとりが媒体に求めているものは違うのだろうから、手放しでおーるおっけーというわけではないのだろうが、7月に本が「形になって書店に出た」のを見て、ひとつひとつの情報の重さを感じたのである。情報には、速く出す種類の情報と、いざというときのために、しみじみ自分の中に溜め込んでおく情報とがあるのだ。
編集者に「みなさまからの感想エントリー待ってるんですがまだですか〜まってます〜」と小声で叫びつつ、もういちど紹介させていただく。
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