/ja あやつる YmrDhalmel

バレーボールを見た記録が多いです。主に北で、たまに南で。

今年見た「入替戦」を振り返る

年始の予定に少々手を入れようかな、とちらっと思ったのは、昨日読んだ下記エントリがきっかけ。

当事者にはたまらなく辛い経験ですが、カテゴリを問わずにファンを熱くすることができるこのスポーツの素晴らしさを改めて実感しました。

FC刈谷とツエーゲン金沢、すれちがう2つの立場-twitterより|ここからJリーグ

「入替戦」というのは、あらゆるスポーツや勝負事の枠組みの中でおこなわれる試合である。ヨノナカにどれだけの入替戦が存在するか、というのを、数えたことはない。数え切れないほどの上位と下位、それぞれの思いが、どこかで正面衝突している。下位にいるチームが勝ったとき、その後の双方の前に広がる景色はおおきく変化する。だからこそ、熱く、そして痛い。

これはバレーボールに於いても例外ではない。そして、今年、観戦する者として、例年以上にこの「景色の変わり目」に出くわしてしまった。そのことについて、ことしのまとめ第一弾として、書き留めておく。

1)FC東京大分三好-3度目に破られた壁は、今、すぐそばに。

※いつか紹介したかったのです。YouTubeにあがっていた映像。
V・プレミアリーグV・チャレンジリーグ。この名称になってから都合3回おこなわれた「チャレンジマッチ」が、このカテゴリ間における「入替戦」に相当する。セントラル開催で2試合がおこなわれ、2試合のトータル(勝敗が同じ場合はセット率)で勝者と敗者が決められる。
FC東京大分三好ヴァイセアドラーはここで3回顔を合わせた。過去2回は大分三好が熱戦を制して踏みとどまった。
3回目である今年4月、初めてFC東京大分三好に勝利を収めた。初戦をストレートで勝った。翌日、1セットを先制し、一気にこの戦いの勝利を手にした(試合自体はその後大分三好が3セットを連取し勝利)。Vリーグ機構による審査、その他いろいろな手続きはその後に待ちかまえていたが、結果自体は「FC東京昇格、大分三好降格」ということになったわけである。→そして大和 - /ja あやつる YmrDhalmel
ところが、V・プレミアリーグに所属し、2008/09シーズン7位で同じようにチャレンジマッチに出場していたNECブルーロケッツが5月末を以て休部した(この件についても書きたいことは多々あるが、稿を改める)。V・プレミアリーグはこの時点で7チームとなり(FC東京が正式に決まっていなかったから6か)、来たる2009/10シーズンのV・プレミアリーグがどのような編成にておこなわれるのか、その正式発表は7月までもつれこんだ。
http://www.vleague.or.jp/news_topics/article/id=3261
大分三好が今シーズンもV・プレミアリーグで戦うことになった、という情報と共に、初めて正式に「FC東京」がV・プレミアリーグ所属チームとしてその名を刻まれた。大分三好にとって、この決定はどうだったのだろう、と、率直なところ思う。V・チャレンジリーグを主に見ている者として、大分三好との対戦を見たいという気持ちが強かったから、余計にそう思うのだろうが。現に5月の黒鷲旗ではジェイテクトSTINGS大分三好にストレートで勝っており、実はつくば以上にジェイテクト富士通と当たるところを見るのを楽しみにしていたのだ。大分三好が、曲者がいるところで揉まれて、いろんな意味でチームの地力をつけて、そういった手順を踏んだ上で再びV・プレミアリーグに復帰する、というのではない。それは、却って勿体ないことなんじゃないのかな。実は冒頭で紹介したサッカーJFL-地域入替戦の記事を読んで真っ先に思ったのは、そのことだった。
そして、急にこの2チームの直接対決を見たいと思い至った。年明けすぐの1/9(土)に組まれていた→チケット情報 | バレーボール Vリーグ オフィシャルサイト。V・プレミアなので4回当たる。双方のホームゲームで1回ずつ、最後はパナソニックアリーナで。…うーむ。伊那、キニナルが、町田で見られるならいいか。

2)関東1部-2部・秋-大事なステップだから

大学バレーでは春・秋それぞれに各部間での入替戦がおこなわれる。入替戦は一発勝負である。
2009年11月1日におこなわれた関東1部-2部入替戦について、おおかたのことは過去記事に書いた。→関東大学1-2部男子入替戦雑感 - /ja あやつる YmrDhalmel

前段で「入替戦がおこなわれる」と書いたが、これには「イレギュラーな開催でない限り」という註釈がつく。イレギュラーにもいろいろあるが、代表チームを派遣するタイミングとか、リーグの枠組みがかわってチーム数が増えるような場合、少々かわることがある。関東でいえば、昨年の春・秋がそのパターンであった。春に大学選抜が国際大会に出場するため7試合の縮小開催、自動昇格2チームを受け容れて1部が10チームに(2-3部からも自動昇格各2チーム)、秋は逆に1〜2部の下位4チームが降格ないしは降格の危機に瀕するという強烈な年であった。

翻って、ことしは「普通のシーズン」となるはずであった。しかし、新型インフルエンザの流行が、新学期を過ぎてから続々と迫り来て、ある意味去年以上の「イレギュラー」なシーズンになってしまった。春季関西リーグは8試合を消化したところで中止となり、2部上位2チームが自動昇格して秋リーグを迎えることとなったのである。関東は春リーグの日程を順調に消化することが出来たが、秋リーグの開催にはかなり影響があった。

関東の秋季リーグに関しては、事前の学連通達(注:リンク先PDF)には「発症した選手がいて試合に出られない、または戦力大幅低下の場合、当該チームは試合の延期を学連に申請できる」「延期試合は両チームの協議によって日程と場所を決める」「延期が度重なり、日程消化が困難になった場合は総当たり7試合での中止、ひいてはリーグ戦自体の中止を検討する」とあった。インフルエンザ発症によりチームに影響が出た場合の措置については、「チームが試合に出られない場合は棄権扱い」が主流の他学連と異なっており、その点については各方面で論議を呼んだ。
女子1部リーグでは、割と早い段階から試合延期が相次いだ。今季の舵取りが決定的になってしまったのは、おそらく第4週、総当たりの最終日である7試合目で、新型インフルエンザ発症の影響で1試合が延期になったところではなかっただろうか。
男子1部リーグは、なんとか中止もなく*17試合を消化、総当たりの順位に因って上位・下位に分かれての順位決定リーグに突入していた。しかし8日目は1試合が延期となった。順位決定リーグの日程が組めなかった女子はともかく、ゴールが見えてきている男子はなんとか日程消化に至るのではないかと思っていた。さしあたり女子は7試合で打ちきりとなった→参考:関東大学バレー 1部女子は(男子も?)日程短縮 - /ja あやつる YmrDhalmel
さらに、男子も。最終週直前に衝撃的な報せが入ってきた。複数の大学にインフルエンザの影響があったとやらで、最終週が急遽中止となった。学連からは「中止」である旨の発表はあったが、入替戦についての言及はなかった。その段階で、入替戦は行なわれない、という報道が先行していた。→参考:どこへいくのか - /ja あやつる YmrDhalmel

前置きが長くなった。この入替戦については、入替戦そのものの開催が危ぶまれたのである。更にややこしいのは、既に8試合を終えたチームがほとんどである状況で、順位決定基準が「7試合」である、とされた点であった。
これで、7位が筑波になった。8位はいずれにせよ中央。

どういうわけか、この入替戦に関しては、「行なわれてほしい」と切に願った。行なわれなければそのまま残留、という方向に振れるというのはわかっていてもなお。

入替戦は無事に行なわれ、その結果、次のリーグの顔ぶれが決まった。次=来春開幕するリーグは4年生は卒業し、新しいチームで迎える(秋の入替戦というのは、そのことも含めて特別な感慨はある)。入替戦がちゃんと行なわれたことにより、戦ったそれぞれのチームがちゃんとその経過と結果を消化するチャンスを得られた。そういうことだろう。

筑波は慶應と入れ替り、来春は2部スタートとなった。慶應の、かなり久々になる1部での戦いも楽しみであり、新戦力が充実する筑波の2部での進撃も気にかかる。
「そこにいるべきではない」といわれた中央は、来春、更なる飛躍にて頂点を目指しに行くはずである。

3)その関門の手前に2回

実は、前述の2つの入替戦、その両方に深く関わり、直前までその挑戦者側で出て来る可能性を持ちつつ、最後の最後で夢破れた選手がいた。
ひとつめの「再びの」挑戦、それに向けての戦いは、年明け早々に始まる。
★F

*1:欠場選手が出ていたチームはあったが